芸能

著者インタビュー せきしろ×又吉直樹、自由律俳句集第3弾

二人の異才が繰り出すリズミカルな言葉の欧州(撮影/政川慎治)

【著者インタビュー】
せきしろ×又吉直樹

『蕎麦湯が来ない』/マガジンハウス/1400円

【本の内容】
 2009年『カキフライが無いなら来なかった』、2010年『まさかジープで来るとは』に続く第3弾。5・7・5の形式を破り自由な韻律で詠む「自由律俳句」と、エッセイ、写真で構成。自由律俳句にはエッセイの濃縮されたエッセンスを、エッセイには自由律俳句に詠まれていない奥行きが感じられる。二人がその目で捉える世界の可笑しさと優しさは、どこか自意識過剰で生きづらそうで、じわじわ胸にあたたかな気持ちが広がって、読む手が止まらなくなること請け合い。

 * * *
 蕎麦湯が来ない。このタイトルを一読し、何を想起するだろうか。

 たとえば…蕎麦湯が来ないので、頼みたいんだけど、これだけ待っても出てこないということは、そもそも蕎麦湯はないのかもしれない。だったら、すげない対応をされるのは嫌なので黙っていようか…不安感によって期待感が少しずつ侵食されつつある心がオーバーラップしてくる。

 同書は文筆家・せきしろと又吉直樹の自由律俳句集の第3弾だ。自由律俳句とは定型俳句と異なり、「5・7・5」のリズムにも、季題にも、とらわれる必要はない。自由律俳句の両巨頭といえば、種田山頭火と尾崎放哉だ。山頭火の「分け入っても分け入っても青い山」や、放哉の「咳をしても一人」などはあまりにも有名である。

 このタイトルも、じつは、そんな自由律俳句のうちのひとつである。せきしろは言う。

「定型は僕の中では完全に静止画のイメージ。一方、自由律は、その前後を想像させる。短い動画みたいなものかもしれません」

関連キーワード

関連記事

トピックス

海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
【大麻のルールをプレゼンしていた】俳優・清水尋也容疑者が“3か月間の米ロス留学”で発表した“マリファナの法律”「本人はどこの国へ行ってもダメ」《麻薬取締法違反で逮捕》
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン