スピンドル(右)を使った糸紡ぎは、手先が不器用でもできる(写真提供/筆者)

 だが休校措置を出されると給食もなくなり、給食牛乳も当然停止される。しかも、いつ再開されるか分からない。これは生産・加工・流通、牛乳に関わる全ての現場にとって大打撃となるものだ。事情は給食に使われるはずの他の食材においても同じだが、牛乳の一番大変なところは常時冷蔵が必須なうえ、長期保存が利かないということだ。

 栄養価の高さ故に長年にわたって給食に供されてきた牛乳は、その栄養価ゆえに腐敗しやすいものでもある。しかも、生き物である牛の泌乳をいきなり止められるわけもない。また、出産予定の牛を『しばらく牛乳の流通減らさなきゃいけないから腹の子っこ死なすわ』という訳にもいかないのだ。

 ただ、ここまで煽るような表現になってしまったが、実は加工現場ではこういった場合に対する調整機能が存在する。例えば、今まで学校の長期休み時にはどうしていたのか、ということだ。給食も休みとなるこの期間、本来子どもたちに飲まれる予定だった牛乳はみすみす捨てられていた訳ではない。大抵の場合、その分の生乳はバターなど、他の加工乳製品に回されるのだ。今回の休校措置も、加工メーカーの調整機能を最大限に活かせば、多少の混乱はあれど全体的にはそれほど大きな問題にはならなさそうに思える。

 特に、大生産地である北海道は酪農地帯それぞれに大規模な加工施設があるので、大手メーカーのお膝元はそれほど焦らないでいられる。道内の牛乳はもともと加工される割合が高いこともひとつの安心材料だ。実際、私の実家で搾られた牛乳は、一部は敷地内にある小規模工房でチーズに加工され、他の大部分は大手メーカーの工場でバターと脱脂粉乳に加工される。もともと給食と関係ないのだから、今回の休校措置で影響を受けることはない。

◆飲用乳と加工乳を隔てる「問題」

 しかし、大生産地はいいとしても、そうでない地域は事情が異なる。そもそも飲用乳というのは基本的に消費地に近い地域で生産されるものだ。各都府県、それぞれで小規模ながら丁寧に搾られた牛乳が飲用に供されている。当然、搾られた牛乳が飲用乳として給食牛乳に使われる割合は高くなる。

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