国内

刑務所のコロナ対策 受刑者が「マスク禁止」の理由は

受刑者は「マスク禁止」だという(府中刑務所)

 新型コロナウイルスが猛威をふるい、職場、学校、家庭では「マスクの着用」「消毒」など、徹底的な予防策が講じられている。では塀の中、刑務所ではどのような予防策が講じられているのか。受刑者の高齢化も進み、目に見えないウイルスへの恐怖は一般の人と変わらない。自由が制限された彼らはどう身を守っているのか。

「外部との接触が厳しく制限されている刑務所で、もし新型コロナの感染が起これば、“犯人”としてまっさきに疑われるのは日々出入りする刑務官です。刑務所区域内に立ち入る際には、徹底した感染症対策がとられています。外部と接触していた新規の受刑者や移送されてきた受刑者は2週間隔離され、原則、刑務作業も禁止しています」

 そう語るのは、ある刑務所の刑務官だ。厚生労働省は感染者の集団、いわゆる「クラスター」が発生しやすい条件として「屋内の閉鎖的な空間で人と人が至近距離で、一定時間以上交わること」とし、具体例として「ライブハウス」「スポーツジム」「屋形船」などを挙げる。

 屋内、閉鎖的、人と人が至近距離──刑務所は条件にぴったり当てはまる。塀の中も高齢化が進んでいる。2002年では受刑者に占める60歳以上の割合は10.3%だったが、2018年には19%を超えた。つまり5人にひとりは60歳以上ということだ。そんな閉鎖空間でひとたび集団感染が起これば、重症化する者が大量発生する可能性がある。

 そもそも塀の中の感染予防対策はどのように行われているのか、法務省矯正局の担当官に聞いた。

「1月の末に、全国の刑務所関連施設に向け、(施設職員の)手洗い、うがい、マスク着用の徹底について、文書で通達しました。さらに、2月末に厚労省が感染対策の基本方針を発表したタイミングに合わせてもう一度、同じ内容の文章を全国の関連施設に送りました」

 受刑者は職員以外との接触を徹底的に制限する方針で、定期的に行われている慰問ボランティアなども現在は受け入れを停止する施設が増えている。刑務所や少年院などの矯正施設でのボランティアコンサートを20年続けている女性デュオ『Paix2(ぺぺ)』はこう語る。

「毎年3月は、新年度のコンサートの予定が20~30か所くらい決まっていくのですが、今年は新型コロナの影響でまったくの白紙です。どこまで続くのか、皆目見当もつかない状態です」

 水際対策は万全のようだが、刑務所には外とは違う“事情”もある。前出の刑務官が語る。

関連記事

トピックス

お笑いコンビ「ガッポリ建設」の室田稔さん
《ガッポリ建設クズ芸人・小堀敏夫の相方、室田稔がケーブルテレビ局から独立》4月末から「ワハハ本舗」内で自身の会社を起業、前職では20年赤字だった会社を初の黒字に
NEWSポストセブン
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン
「オネエキャラ」ならぬ「ユニセックスキャラ」という新境地を切り開いたGENKING.(40)
《「やーよ!」のブレイクから10年》「性転換手術すると出演枠を全部失いますよ」 GENKING.(40)が“身体も戸籍も女性になった現在” と“葛藤した過去”「私、ユニセックスじゃないのに」
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト