国際情報

「まるで戦争」 新型コロナに厳戒態勢のベトナム現地報告

16番目の感染者出現から3週間が過ぎ、一時は終息に向かうと思われたが、3月6日に17番目の感染者が出て、再発を恐れた国民らがスーパーに溢れた。トイレットペーパー、インスタント食品、ミネラルウォーターが次々と売り場から消えた(3月8日、ホーチミン市)

 今回、取材の通訳を引き受けてくれたグエン・ティ・ガイ(29)さんは、母親と親戚から「(新型コロナウイルス関係取材の)通訳はやめなさい!」と言われたが、「今、ベトナムで何が起きているのかをこの目で見たい」と家族を説得し、同行してくれた。

「新型コロナウイルスはまるで戦争です。私たちの敵は、(最初に感染が急拡大した)中国、韓国、イタリア、イラン、日本などではなくCOVID-19というウイルスなのです。世界中の皆が手を組み、ウイルスと戦わなければならない状況に来ています。一日でも早く新型コロナウイルスがこの世から去り、世界に笑顔が戻ることを願っています」(ガイさん)

 ガイさんが取材同行のため自宅を出るとき、母親は「私はベトナム戦争を知っているの。戦争では誰も助けてくれない。自分の身は自分で守らなければならないのよ」と優しく背中を押してくれたという。

◆人々の心を蝕むウイルス

 長年、日本・ベトナム間の医薬品貿易に携わる日本人ビジネスマンは “対コロナ戦争”の別の一面をこう指摘する。

「共産国の中国とベトナムは、国家のプロバガンダが成功していますね。特にベトナムが軍事施設を真っ先に隔離施設として利用したのは、『軍』は必要不可欠だとアピールする狙いもあるのではないでしょうか」

 事ここに至り、中国は「(新型コロナウイルスを)持ち込んだ犯人は米国だ」と発信し、一方の米国は、「中国・武漢市が発生地だったことを忘れてはならない」と応戦するなど、米中による情報戦が始まっている。

 私がベトナムで直面した差別的言動を踏まえて考えると、今回の新型コロナウイルスは人々の心をこそ蝕むウイルスで、それを利用した「世界戦争」がすでに始まったように感じる。

●撮影・文/村山康文

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