芸能

渡辺えり 舞台『ゲゲゲのげ』で演劇人として評価を高めた

渡辺えりが劇団旗揚げの頃を振り返る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、女優の渡辺えりが役者としてのスタートを切り、劇団を旗揚げして『ゲゲゲのげ』で岸田國士戯曲賞を受賞するに至るまでについて語った言葉をお届けする。

 * * *
 渡辺えりは高校を卒業後、舞台芸術学院に入学、役者としてのスタートを切ることになる。

「舞芸では作・演出もしていました。周りはみんな役者志望で──私も役者志望でしたが──書いて演出する人がいませんでした。それで頼まれて、やることになりました。作曲も衣装も。学生時代からそれでお金をもらえていました。

 当時、影響を受けていたのは唐十郎さんです。特に魅力的だったのは、セリフの美しさ。全てが詩的で、暗喩や比喩になっている。テレビドラマのようなナチュラルなセリフよりも、舞台の場合はその方が面白いんですよね。時間と空間が変わっていくのも面白かった。過去と現在とが一緒になる、入れ子構造の芝居で。舞芸の演目も、そういった感じで考えていました」

 舞台芸術学院を卒業後は劇団青俳の演出部に所属するも、一年で退団している。

「一年間で十三本のお芝居についたのですが、演出部にはスタッフが私とあと二人くらいしかいなくて、毎日徹夜でした。トイレに行く時間もない。

 それで腎盂炎になって、いちど山形に帰って養生したんです。あまりに過酷なので、劇団に戻った時に社長にそのことを伝えたら、『お金を返してもらう』と。

『みんな一本につき一万のギャラだったけど、あんただけ月三万の給料だった。年に十三本なら一年で十三万のところが三十六万。差額の二十三万を返せ』というんです。それで頭に来て、辞めちゃったんですよ」

関連キーワード

関連記事

トピックス

レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
《訃報》「生きづらさ感じる人に寄り添う」遠野なぎこさんが逝去、フリー転向で語っていた“病のリアルを伝えたい”真摯な思い
NEWSポストセブン
なぜ蓮舫氏は東京から再出馬しなかったのか
蓮舫氏の参院選「比例」出馬の背景に“女の戦い”か 東京選挙区・立民の塩村文夏氏は「お世話になっている。蓮舫さんに返ってきてほしい」
NEWSポストセブン
泉房穂氏(左)が「潜水艦作戦」をするのは立花孝志候補を避けるため?
参院選・泉房穂氏が異例の「潜水艦作戦」 NHK党・立花孝志氏の批判かわす狙い? 陣営スタッフは「違います」と回答「予定は事務所も完全に把握していない」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《真美子さんの艶やかな黒髪》レッドカーペット直前にヘアサロンで見せていた「モデルとしての表情」鏡を真剣に見つめて…【大谷翔平と手を繋いで登壇】
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と浜辺美波のアツアツデート現場》「安く見積もっても5万円」「食べログ予約もできる」高級鉄板焼き屋で“丸ごと貸し切りディナー”
NEWSポストセブン
誕生日を迎えた大谷翔平と子連れ観戦する真美子夫人(写真左/AFLO、写真右/時事通信フォト)
《家族の応援が何よりのプレゼント》大谷翔平のバースデー登板を真美子夫人が子連れ観戦、試合後は即帰宅せず球場で家族水入らずの時間を満喫
女性セブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と全身黒のリンクコーデデート》浜辺美波、プライベートで見せていた“ダル着私服のギャップ”「2万7500円のジャージ風ジャケット、足元はリカバリーサンダル」
NEWSポストセブン
6月13日、航空会社『エア・インディア』の旅客機が墜落し乗客1名を除いた241名が死亡した(時事通信フォト/Xより)
《エア・インディア墜落の原因は》「なぜスイッチをオフにした?」調査報告書で明かされた事故直前の“パイロットの会話”と機長が抱えていた“精神衛生上の問題”【260名が死亡】
NEWSポストセブン
亡くなった三浦春馬さんと「みたままつり」の提灯
《三浦春馬が今年も靖国に》『永遠の0』から続く縁…“春友”が灯す数多くの提灯と広がる思い「生きた証を風化させない」
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《タクシーで自宅マンションへ》永瀬廉と浜辺美波“ノーマスク”で見えた信頼感「追いかけたい」「知性を感じたい」…合致する恋愛観
NEWSポストセブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《産後とは思えない》真美子さん「背中がざっくり開いたドレスの着こなし」は努力の賜物…目撃されていた「白パーカー私服での外出姿」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン