花束を手に晴れやかな表情の西郷さん(撮影/浅野剛)

「なんの変哲もない公立中学校が、西郷校長の“子どもの主体性を何より大切にする”という信念をきっかけに、生徒も、先生も、保護者も、そして地域までもが少しずつ変わっていきました」

 橋本さんはその様子を、「まるで池に投げ込まれた小さな石が、波紋を広げていくようだった」と語る。いつの間にか学校全体に、校長の投げた“一石”の影響が行き渡っていた。そうやって、大きく変わった、と。

「桜丘中学校が本当にすごいのは“自分だって何かできるのではないか?”と思わせてくれる学校の雰囲気そのものだと思っています。私たちも感化され、いち保護者がこのようなイベントを開催できたのかもしれません」(橋本さん)

 この講演会に司会・進行を行うファシリテーターとして登壇した、教育ジャーナリストでもある世田谷区長の保坂展人さんは言う。

「西郷校長は、赴任当時から、何も意気込んで学校改革を始めたわけではありません。生徒が声を上げ、理不尽だと思うことを、教員と力を合わせて10年かけて少しずつ改革してきたわけです。西郷校長のトップダウンで改革したわけではないところに、意義があるのではないでしょうか」

 桜丘中学校と似た校風を持つ私立学校に、麻布学園がある。中学・高校からなる男子校御三家の1つで「自由闊達・自主自立」を旨とし、学校生活のあらゆる局面で生徒に判断がゆだねられている。そして、その校風こそが生徒の心を成長させているのだと理事長の吉原さんが話す。

「麻布学園も桜丘中学校と同じく、校則はありません。私が入学した中学1年生の頃には“本当に自由にしていいんだ”と驚いたものです。“学校から信頼されている”という気持ちが、自分たちの責任感や自主性を育んだのだと実感しています」

※女性セブン2020年4月9日号

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
日本テレビの杉野真実アナウンサー(本人のインスタグラムより)
【凄いリップサービス】森喜朗元総理が日テレ人気女子アナの結婚披露宴で大放言「ずいぶん政治家も紹介した」
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン