芸能

韓国映画のすごさ、軍事政権・南北問題・経済危機など題材豊富

ソン・ガンホ(53才)。大作にこの人あり。韓国を代表するアクの強い名優(写真/アフロ)

 韓国映画・『パラサイト』が第92回アカデミー賞作品賞をはじめ、各国の映画賞を総なめにし、韓国映画に世界中から注目が集まっている。その背景には、「映画産業が活性化されるさまざまな下地が国家レベルできている」と、作家の康熙奉さんは語る。

「金大中政権以降のこの20年で、国家は人材育成など映画産業に対する支援を行い、企業も積極的に投資。各自治体も非常に力を入れて撮影所などを作っています」(康さん・以下「」内同)

 さらに、「隣の家の持っている箸の本数まで把握している」と揶揄されるほど、他人に対する関心が強い国民性も、映画やドラマの高い人気につながっているという。

「2019年の韓国での観客動員総数は約2億2000万人といわれていて、国民が5200万人ですから、だいたい1人平均年4本は映画を見ていることになります。動員数1000万人を突破した映画もやたらと出ている。すごいですよね(笑い)。外国作品を除いた国内作では、これまでに19本が1000万超え。

 2019年は『パラサイト』と『エクストリーム・ジョブ』の2本でした。鑑賞料が日本の半額程度と比較的安く、家族やカップルの娯楽として定着し、シネコンの発達という映画環境が整っていることも大きいです」

 さらに康さんは韓国は日本や諸外国に比べて、映画の題材に恵まれているともいう。

「『シュリ』(1999年)以降は北朝鮮との敵対関係をうまく題材として生かしたスパイアクションやミステリーを作り、『1987、ある闘いの真実』や『タクシー運転手 約束は海を越えて』(ともに2017年)などの、戦後の長い軍事政権から民主化までを取り上げた作品や、さらに1997年、外貨が底をついて国家が破綻しかけた危機を描いた『国家が破産する日』(2018年)など、映画のテーマには事欠かきません。

 特に1997年の経済危機は、『パラサイト』でも取り上げられた格差問題など、いまの韓国に非常に大きな影響を与え、国を激変させる契機となった事案なので、現在の韓国社会を知ることができる作品です」

◆ザ・ムービースターがけん引する映画界

あわせて読みたい

関連記事

トピックス

寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日のなかベビーカーを押す海外生活》眞子さん、苦渋の決断の背景に“寂しい思いをしている”小室圭さん母・佳代さんの親心
NEWSポストセブン
原付で日本一周に挑戦した勝村悠里さん
《横浜国立大学卒の24歳女子が原付で日本一周に挑戦》「今夜泊めてもらえませんか?」PR交渉で移動…新卒入社→わずか1年で退職して“SNS配信旅”を決意
NEWSポストセブン
米インフルエンサー兼ラッパーのリル・テイ(Xより)
金髪ベビーフェイスの米インフルエンサー(18)が“一糸まとわぬ姿”公開で3時間で約1億5000万円の収益〈9時から5時まで働く女性は敗北者〉〈リルは金持ち、お前は泣き虫〉
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン