芸能

朝ドラのイケボ声優と小池都知事、その声質の違いについて

夜間も含めた不要不急の外出自粛を呼びかける小池百合子・東京都知事(時事通信フォト)

不要不急の外出自粛を呼びかける小池百合子・東京都知事(時事通信フォト)

 自宅で過ごすことが増え、ストレスを感じやすくなっているこの頃。「声」について人はより敏感になっていると言えるのではないだろうか。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 新しいNHK朝ドラ『エール』の幕が開きました。まず話題をかっさらったのがオープニング。原始時代からスタートし火山が爆発、西部劇にテニスコートと場面は瞬時に切り替わって最後はみんなで踊るフラッシュモブのシーンへ。「人は音楽を愛した」「ずっと音楽は人のそばにある」と音楽礼賛のフレーズが挿入され、実にユニークな冒頭4分間。これまでの朝ドラでは見たことのない、ポップで斬新な始まり方でした。

 そう、今回は「六甲おろし」などの作曲で知られる古関裕而さん夫妻をモデルにしているドラマ。音楽の価値を端的に楽しく、そして鋭く伝えるオープニングの構成に、古関さんへのリスペクトが溢れていて脱帽です。という「音」に関する朝ドラだから、声や口調にも関心が集まります。今話題なのがナレーション。声優・津田健次郎さんが毎朝落ち着いた声で語りかけてくる。その声が「イケボ(イケているボイス)」と大評判に。

 考えてみれば朝ドラのみならず、以前にも増して「声優」の存在感が増し、子どもの「なりたい職業ランキング」の上位に「声優」がランクインしたり。これほど声優が注目と関心を集めている時代は、無かったかもしれません。ビジュアル的要素だけでなく、声の質や響きがものを伝えるための非常に有効かつ大切な道具であり力を持っている、という証しでしょう。

 さて4月の改変期、人が入れ替わるタイミングに「声」「口調」という視点でNHKの画面を眺めてみると……個人的にはとても残念な変化がありました。『首都圏ネットワーク』等NHKの気象情報で長い間、活躍されてきた気象予報士・関口奈美さん。ご結婚され海外へ行くことが決まったそうでこの春、画面からその姿と声が消えたのでした。

 関口さんの声・口調はまさしく「ヤワボ」。柔らかくて優しいボイスでした。抑え目だけれど朗らかさもあり、軽やかさもあって。毎日のことだから空気のように自然だけれど、ふと耳を澄ませばふんわりと包んでくれる。あの声にどれほど癒やされたことか。やたらトーンを上げたり声を張ったり、「私が、私が」の自己主張を感じるアナウンサーや気象予報士も多いこのご時世。けれど、関口さんの声にはそうした押し付けがましさを感じませんでした。だからこそ、こっちからふと「耳を傾けて」みたくなるのだと、気付かされました。

関連記事

トピックス

俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン