一方、報道番組の改変で言えば『ニュースウオッチ9』に新登場した和久田麻由子アナの声もいい。きりっと冷静な声「レイボ」が魅力です。それが報道の空気を一瞬にして作り出してくれます。和久田さんはアナウンサーを志望した理由を「ナレーションに興味があったからです。音声表現によって制作者の思いを明確にし、一段番組の雰囲気を上げることができる。職人技のような部分に憧れました」(NHKリクルートサイト)と語っています。そう、自分の声に対してとても自覚的。トーンもスピードも報道番組にマッチするよう工夫しているのでしょう。
反対に、口調で批判を受けるケースも。場面に適したしゃべり方をしていないと指摘されたのは小池百合子東京都知事です。
緊急会見で「都民の皆さま方にはこうした場への出入りを控えていただくようにお願いしたい、今日はその場でございます」「お控えいただきますようにお願いしております」「いただきたく存じます」「でございますので……と申し上げさせていただきます」とやたら丁寧に言葉を重ねるのはクセ? 敬語・謙譲語・丁寧語の連なりのため「緊急のメッセージということが伝わらない」とフリーアナウンサーの楠田枝里子さんが苦言を呈しました(3/26フジテレビ系『バイキング』)。
小池都知事の口調にどこか「自分を上品に見せたい」という無意識の願望が隠れているのか否か。
つまり、声や口調は想像以上にさまざまなことを語っているのです。言葉の「意味」以上のことを、あわせて伝えているのです。日々、たくさんの情報を受け取る視聴者としては、耳障りではなく耳福でいたいのです。