「どうしても家族で行いたいなら、事前に伝えると行きたいという人も出てくるので親戚への訃報も葬儀後に事後報告するしかありません。故人の希望を貫くのか、トラブルを避けたいのか、優先順位をよく考えてください。故人の強い希望であることをわかってもらうため、亡くなる前に本人から周囲に伝えてもらうのも手です」(市川さん)
安易に家族葬を選んでしまうと、後になって「一般葬を選んでおけばよかった」と後悔する場合もある。
都内で暮らす女性のケース。彼女には地方で暮らす高齢の両親がいた。ある日父親が亡くなり、実家に帰って家族葬を行った。葬儀を終えて東京に戻った後、残された母親のところに、次から次へとお香典を持ってくる人が現れて、母親が疲れ果ててしまった──。彼女はこんなことなら一般葬をしてみんなに来てもらえばよかったと後悔しているという。
これについて、葬送・終活ソーシャルワーカーの吉川美津子さんは離れて暮らす家族に多いパターンだと話す。
「葬儀後に電話が来て、お線香だけでもと言われると、なかなか断れないもの。葬儀の間は子供や親戚が手伝えますが、その後は高齢の母が1人で対応するわけですから大変です。1つの区切りとして一般的なお葬式をやっておいた方がよかったと言う人は少なくありません。
ただし、新型コロナによる感染症対策の関係で、やむを得ず最低限の人数で葬儀をしなければならない場合は別。状況が落ち着いてから、改めて偲ぶ会などの開催を検討してもいいでしょう」(吉川さん)
※女性セブン2020年4月30日号