ピアノは練習すればうまくなり、しなければ一切上達しない。レイコ先生の叱咤激励もあって、やがて譜面を読めるようにもなり、〈曲の中にたくさんの美しさが隠れていることに〉も気付いた。
教則本の課題曲『ちょうちょう』や『さくらさくら』を練習する最中、山口組の分裂抗争が再燃し、レッスンに行けないのがもどかしかったと振り返る。取材の経験知も活かしつつ、少しずつ上達していき、ついに発表会に臨む日を迎える。人はいくつになっても可能性を宿している。読むうちに元気が出る抱腹絶倒体験記だ。
※週刊ポスト2020年5月8・15日号