そうやって「集団知」を導き出すようにするのだが、ここで重要なのがサイバーリーダーシップだ。意見を言いっぱなしにしないなど、議論のルールやエチケットを守りつつ、チームメンバーを取り仕切る人物が必要になる。BBTのクラスには「ラーニングアドバイザー」と呼ばれるOBが参加していて、メンバーの意見交換を促したり軌道修正したりする役割を担っている。
こうしたサイバーリーダーシップがしっかり機能していれば、参加メンバーによる議論はどんどん深まり、お互いの信頼関係もどんどん強まっていく。
従来の企業の集合研修や会議などは「場所」と「時間」に拘束されるため、世界中に拠点があるグローバル企業の場合は年1回か2回しか開催できなかった。最近はSkypeやZoom、Slackなどの活用も広がっているが、エアキャンパスで実践しているような仕事のやり方をすれば、場所だけでなく時間にも縛られないので、これからの日本人の「働き方改革」に大きく寄与することができるはずだ。
●おおまえ・けんいち/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊は小学館新書『経済を読む力「2020年代」を生き抜く新常識』。ほかに『日本の論点』シリーズ等、著書多数。
※週刊ポスト2020年5月8・15日号