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「1985年とバースの幻想」に捉われ続けた阪神90年代の暗黒期

阪神の低迷期の投手陣を支えたマット・キーオ(写真:時事通信フォト)

 セシル・フィルダーが活躍した1989年は5位に浮上したが、村山監督は辞任。40歳の中村勝広監督が誕生するも、1990年は最下位に逆戻り。阪神の低迷が始まる1987年に入団し、4年間で45勝を挙げていたキーオは7勝に終わった同年限りで解雇された。1991年、中村監督は“打ち勝つ野球”を掲げ、トーマス・オマリーとマーベル・ウインの野手2人を獲得。また、23歳の遠山昭治との交換トレードで、ロッテから33歳の高橋慶彦を呼び寄せた。オマリーはフル出場で打率3割7厘、21本、81打点と期待通りの活躍をしたが、ウインや高橋慶彦は不振を極め、阪神は2年連続最下位に沈んだ。

◆甲子園ラッキーゾーン撤去で投手陣が奮起するも…

 開幕前、大方の評論家が最下位予想をした1992年、猛虎が復活する。本拠地・甲子園のラッキーゾーンが取り外され、両翼が5メートル伸びたことで、投手有利の環境になった。すると、仲田幸司や湯舟敏郎などの投手陣が奮起し、チーム防御率は2.90でリーグ1位に。ヤクルトに競り負けて優勝は逃すも、投手力を武器に7年ぶりのAクラスとなる2位に躍進した。主戦投手は伸び盛りの20代ばかりで、阪神黄金時代到来の予感すらあった。

「この年はリーグ最小の475得点しか挙げられなかった。そのため、阪神は先発の一角を占める野田浩司を放出し、オリックスから松永浩美を獲得する1対1のトレードを敢行。24歳の伸び盛りの投手と32歳のベテラン野手の交換で、貧打を解消しようとしました。ただ、1992年の1年間は投手陣が良かったとはいえ、14勝の仲田、9勝の中込はともに前年1勝でしたし、11勝の湯舟は当時まだ2年目。一方で、野田は3年連続8勝以上で、阪神の中では最も計算のできる投手でした」

 1993年、投手陣は前年のようには機能せず、防御率は3.88でリーグ5位に。松永はケガで2度の戦線離脱。打力向上を目指したトレードだったが、得点は478で前年とほぼ変わらなかった。チームは4位に終わり、オフになると松永はFAでダイエーに移籍してしまった。

 ラッキーゾーンが撤去されたことで、それまでのように本塁打が期待できなくなっていたが、阪神は長距離砲の外国人選手にこだわった。1994年、メジャー通算226本塁打のロブ・ディアーを獲得。スポーツ紙は“バースの再来”と煽ったが、70試合出場で76三振。打率1割5分1厘、8本塁打に終わった。8月にケガをして帰国し、そのまま退団。チームは2年連続の4位となった。ディアーに続いて、まさかの解雇もあった。

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