スポーツ

ヴィクトリアマイル ローテとマイル適性の見極めがカギか

アーモンドアイ(2019年の安田記念出走時のパドック)

 ヴィクトリアマイルは、2015年に3連単GI史上最高配当の2070万5810円が飛び出すなど波乱含みのGIとして有名だ。今年は歴史的名馬・アーモンドアイが参戦する。競馬ライターの東田和美氏が考察した。

 * * *
「古馬牝馬のGI」として創設されてから14年と歴史は浅いが、1番人気馬の勝利は過去3頭のみで現在6連敗中。エリザベス女王杯も8連敗中のため、世代の異なる牝馬の戦いには「見えざる力」が働いていると言われている。牡馬相手に結果を残してきた女傑にしても、牝馬限定だから相手関係が楽ということではなく、ここを目標にしてきた手強さがあるという。

 前走阪神牝馬Sを使った馬が5勝2着6回3着5回と16頭が馬券圏内に入っている。1着馬は2011年のカレンチャンをのぞいてすべてここ駒を進めているが、連勝したのは2008年のエイジアンウインズだけで、2着も3着もない。ヴィクトリアMの王道路線のわりに2着馬も1勝(2着2回3着3回)のみ、一方、二桁着順から巻き返しもあるように判断材料にはしづらい。今年も9頭がここをステップにしているが、本番に向けていかにピークを持ってくるかが問われている。

「牝馬」路線では、他に中山牝馬Sからの参戦が2勝2着1回3着2回、福島牝馬S組が2着1回3着2回。2月の京都牝馬Sから直行して2着に入ったケースもある。なお、今年の出走馬でも3頭が京都牝馬S→阪神牝馬Sというローテーションをとっている。

 昨年のオークス馬ラヴズオンリーユーはドバイが中止になったので、エリザベス女王杯3着からの参戦。そのエリザベス女王杯で対戦したのは今回他に2頭、また4歳馬のうち5頭とはオークスで対戦しており、その5頭は(ラヴズオンリーユーが回避した)秋華賞に出走しているなど、トップクラスの牝馬は顔を合わせる機会が多い。

「マイル」という括りで見ると少し違う風景が見えてくる。

 2006年のマイラーズCはその年天皇賞(秋)とマイルCSを連勝するダイワメジャーが勝ったが、2着が次走ヴィクトリアMで初代女王の座に就くダンスインザムードで、3着がヴィクトリアMでも3着のディアデラノビアだった。

 2007年はスイープトウショウが2着だったが、ヴィクトリアMでは2番人気ながら9着に敗れた。ちなみにこの年のマイラーズCにはアーモンドアイの母フサイチパンドラも出走して12番人気9着。ヴィクトリアMにも出走して6番人気に支持されたが12着に終わっている。2008年はニシノマナムスメが2着でヴィクトリアMでは5着。そして2009年以降マイラーズCで牝馬が3着以内に来たことはない。

 2006年以降マイラーズCに出走した牝馬はのべ14頭いるが、ヴィクトリMに向かったのは13頭でその成績は【2 0 1 10】。ダンスインザムードの他、2011年に4着だったアパパネが女王の座に就いている。

 GⅢダービー卿CTも牡馬優勢だが、2007年2着のコイウタはヴィクトリアMの2代目女王となった。3着に入ったのが、いま旬のデアリングハートだが、彼女もダービー卿CT6着からの参戦。2006年以降、ダービー卿CTに出走した牝馬は16頭、ヴィクトリアMに向かったのはそのうち8頭だが【1 1 1 5】(着外5頭のうち3頭は5、6、6着)。

 JRAによって敷かれた「牝馬」という路線よりも、「マイル」という自らの適性を重視したほうが好結果を出しているとはいえないか。

関連記事

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン