鈴木氏は7年間のアナウンサー業務を経て制作局に異動。45歳で再びアナウンス室に戻った際には、長峰由紀アナの熱意に驚かされたという。
「彼女は入社早々『モーニングEye』というワイドショーの司会に大抜擢されたんです。しかしある時、芸能スキャンダルなどを扱うことに耐えきれないと申し出て、自ら番組を降板した。その後、番組を転々としますが、入社以前から強い報道志望だったこともあって熱心に会社側に報道番組の担当を訴え続けていたんです。僕も強く推薦していたら、希望が叶った。“熱意のある社員に報道を任せる”という当時の決断は画期的だったと思います。この頃は『報道のTBS』と言われるだけの気概を感じましたね」
近年の女子アナは「新人時代から肝が据わっていた」と語るのは元TBSプロデューサーの角田陽一郎氏だ。
「キャスティングする現場は人気と実力のある女子アナを起用したがるものです。ただ、新人ならではの面白い化学反応が起きることもあります。ある特番で志村けんさんのインタビューを新人だった青木裕子にやらせたら、『笑いってなんですか?』とド直球な質問をしたんです(笑い)。僕らだったら『お前、ふざけてるのか?』と怒られそうですが、新人の彼女だから許されて、むしろ深い話を引き出せた。アナウンサーは鋭い質問だけでなく、相手の心を開くことこそ大事なのだと気付かされました。
青木はルックスだけでなく、物怖じせずにツッコミを入れる度胸やタレント性を持っていた。そういう意味では小林麻耶も最初からズバ抜けて良かった。さんまさんとの関係性もあるし、僕が担当していた『さんまのSUPERからくりTV』に起用しました」