国内

コロナで「ソフト闇金」業者が暗躍 給付金が事実上の担保に

いろいろな人たちが特別定額給付金をあてにしている(時事通信フォト)

いろいろな人たちが特別定額給付金をあてにしている(時事通信フォト)

 新型コロナウイルスによって仕事が制限された結果、生活が困窮する人が少なくない。すぐに現金が必要な彼らがすがるのは、ご近所、親戚、行政、市民団体のいずれでもなく、ネットを中心に顧客を集めているソフト闇金だ。ライターの森鷹久氏が、取引量を急拡大させているというソフト闇金にすがる人たちの本音、貸す側の目論見についてレポートする。

 * * *
 新型コロナウイルスの感染拡大によって、社会機能の麻痺状態が続く中、政府や当局がテレビCMや新聞広告など、ありとあらゆる手段を駆使して行なっているのが「詐欺被害の防止」である。大手紙社会部記者が説明する。

「一律給付金が優先的にもらえる、ネットで簡単に申請ができる、などといってメールを送りつけたり架電するタイプの詐欺が増えています。数は少ないですが被害も出ており、この先、様々な形の詐欺が発生すると考えられます」(大手紙社会部記者)

 周知の効果もあり被害は限定的だという。それも、こうした非常事態の下、うまい話に安易に飛びついてはならないという意識が我々国民の中にも醸成されつつあるからだろう。その一方で、わかってはいても、生きるためには止むを得ず「危ない橋」を渡ろうとする人たちも存在する。

「電気店で販売の仕事をやっていましたが、私は派遣社員。4月の頭で雇用を一方的に切られ、現在は給料の出ない休みを強制的に取らされています。18万円ほどあった手取りはゼロ、3月も出勤が少なかったので生活費は底をつきました。5月いっぱいの生活費の工面ができないため、仕方がなかったのです」

 埼玉県内で、高齢の両親と暮らす派遣社員・則本信介さん(仮名・40代)は、5月上旬、ネット上で見つけた「ソフト闇金」業者から、当面の生活費として20万円を借り入れた。業者といっても、貸金業法にのっとった登録をしていない非合法業者、いわゆる闇金だ。そこに「ソフト」とついているのは、出資法に違反する金利だが、かつての闇金ほど高利ではなく、取り立ても比較的おだやかなためだ。そして業者の多くはホームページで、自らが「ソフト闇金」と謳っている。だがから則本さん自身も、闇金を利用している自覚はある。

「違法業者であることは知っています。ただ、ソフト闇金は極端な取り立てがないのです。20万円を借りて、口座に振り込まれたのは16万円。4万円は利子として差し引かれます」(則本さん)

 則本さんは16万円を借りて、20万円を返却しなければならず、考えるまでもなく違法な暴利が発生しているのだが、それでも背に腹は変えられない。

「闇金業者は、給付金で返金してもらえれば良いと言ってくれました。役所や福祉事務所は、相談は聞いてくれるものの、金は貸してくれない。遠くの親類よりも近くのサラ金とはよく言ったもの。闇金が暴力団だろうと、助けてくれない役所より、私にとっては必要な存在なのです」(則本さん)

関連記事

トピックス

24時間テレビで共演する浜辺美波と永瀬廉(公式サイトより)
《お泊り報道で話題》24時間テレビで共演永瀬廉との“距離感”に注目集まる…浜辺美波が放送前日に投稿していた“配慮の一文”
NEWSポストセブン
芸歴43年で“サスペンスドラマの帝王”の異名を持つ船越英一郎
《ベビーカーを押す妻の姿を半歩後ろから見つめて…》第一子誕生の船越英一郎(65)、心をほぐした再婚相手(42)の“自由人なスタンス”「他人に対して要求することがない」
NEWSポストセブン
ネット上では苛烈な声を上げる残念な人がうごめいている(写真/イメージマート)
ネットで見かける残念な人たち…「朝ドラにイチャモン」“日本人じゃないと思う”の決めつけ【石原壮一郎さん考察】
NEWSポストセブン
荒川区には東京都交通局が運行している鉄道・バスが多い。都電荒川線もそのひとつ。都電荒川線「荒川遊園地前」そば(2020年写真撮影:小川裕夫)
《自治体による移動支援の狙いは》東京都はシルバーパス4割値下げ、荒川区は実質0円に 神戸市は高校生通学定期券0円
NEWSポストセブン
阪神の主砲・佐藤輝明はいかにして覚醒したのか
《ついに覚醒》阪神の主砲・佐藤輝明 4球団競合で指名権を引き当てた矢野燿大・元監督らが振り返る“無名の高校生からドラ1になるまで”
週刊ポスト
韓国整形での経験談を明かしたみみたん
《鼻の付け根が赤黒く膿んで》インフルエンサー・みみたん(24)、韓国で美容整形を受けて「傷跡がカパッカパッと開いていた…」感染症治療の“苦悩”を明かす
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
「戦争から逃れてアメリカ移住も…」米・ウクライナ人女性(23)無差別刺殺事件、犯人は“7年間で6回逮捕”の連続犯罪者
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《眞子さんが見せた“ママの顔”》お出かけスリーショットで夫・小室圭さんが着用したTシャツに込められた「我が子への想い」
NEWSポストセブン
大ヒット上映を続ける『国宝』の版元は…(主演の吉沢亮/時事通信フォト)
《映画『国宝』大ヒット》原作の版元なのに“製作委員会に入らなかった”朝日新聞社員はモヤモヤ  「どうせヒットしないだろう」とタカをくくって出資を渋った説も
週刊ポスト
米マサチューセッツ州で18歳の妊婦が失踪する事件が発生した(Facebookより)
【犯人はお腹の子の父親】「もし私が死んだらそれは彼のせい」プロムクイーン候補だった18歳妊婦の失踪事件「# findKylee(# カイリーを探せ)」が最悪の結末に《全米に衝撃》
NEWSポストセブン
不倫の「証拠」にも強弱がある(イメージ)
「不倫の“証拠”には『強い証拠』と『弱い証拠』がある」探偵歴15年のベテランが明かすまず集めるべき「不貞の決定的証拠」
NEWSポストセブン
違法賭博胴元・ボウヤーが激白した「水原と大谷、本当の関係」
《大谷から26億円送金》「ヘイ、イッペイ。翔平が前を歩いてるぜ」“違法賭博の胴元”ボウヤーが明かした「脅しの真相」、水原から伝えられていた“相棒の素顔”
NEWSポストセブン