政治への関心が薄かった日本人が、新型コロナによって政治にものを言うようになったのはなぜか。東京工業大学准教授でインターネットと政治に詳しい西田亮介さんが言う。
「長期自粛による不便さが、芸能人から一般人まで同様に共有された結果、不満の矛先が政治に向いたのではないでしょうか。検察庁法改正案の反対は、芸能人がSNSに意見を書き込み、それを見たファンの人がシェアをしながら広がっていきました。
これまで、日本の社会では政治、宗教、金の話はしないというのが不文律となっていましたが、コロナ自粛をきっかけに政治的発言の敷居が下がるなら、これは好ましいことです」
せっかくの変化をいまだけのムーブメントで終わらせるのはもったいない。しかし、コロナ自粛によって変わったことは、良くも悪くも、自粛が終われば元に戻る可能性が高い。経済評論家の加谷珪一さんはこう話す。
「今回の自粛生活で変わったことの多くは、ずっと前から指摘されていた課題でした。通勤地獄なんて、昭和から引きずっていた問題です。時代をまたいでズルズルと維持されていたことが、“けがの功名”で大きく変わったのです」
この2か月間が決してムダな時間ではなかったと証明できるのは、緊急事態宣言が解除されたこれからの生活にかかっている。
※女性セブン2020年6月11日号