主演の窪田正孝

◆親子ともにハマリ役のキャスティング

 唐沢さんは番組ホームページ上のインタビューでも、「そもそもは、窪田くんが主演だから出演のオファーを受けたんですよ。才能ある彼を応援したいですからね。実際に現場に入ってみて、彼が主役で本当によかったと思いました。窪田くんは、主役だけど常に一歩引いて全体を見ていて、音さん(二階堂ふみ)を立てようとしているんです。裕一は控えめな人物ですし、彼の演じる姿勢は正しいと思っています」と絶賛。視聴者や記者だけでなく、窪田さんにも届くようなハッキリとした形でエールを贈っていたのです。

 さらに唐沢さんはNHK出版が発行するガイドブックでも、「(窪田くんは)才能があるし、裕一役が彼でとてもよかったと思います。裕一は一歩引いたところから物事を見ているタイプだし、窪田くんも『俺が俺が』というタイプじゃないから」とコメントしていました。

「裕一は窪田くんのハマリ役」と言う唐沢さん自身も、本人を思わせるノリのよいキャラクターを演じていますし、だからこそ裕一と三郎の関係性は、そのまま窪田さんと唐沢さんの関係性に当てはまっているように見えます。裕一が帰郷し、三郎が息を引き取るまでを描いた第11週の放送は、役柄と本人たちの関係性がシンクロしたからこそ深みのあるシーンになったのではないでしょうか。

 三郎は裕一が音楽に目覚めるきっかけを作ったほか、音との結婚を後押しするなど、最後まで全力で息子を応援し続けました。また、三郎は裕一に「教える。背中を見せる」のではなく、「一緒に楽しむ。一緒に笑う」という友人や同僚のような親子でした。そんな応援する姿も、一緒に楽しむ姿も、三郎に唐沢さんがオーバーラップしているように見えたのです。

 いずれにしても、実績十分の唐沢さんがお墨付きのコメントを繰り返し発信してエールを贈り、最初から最後まで父親のような温かい眼差しを向け続けたことで、窪田さんのモチベーションが上がったのは間違いないでしょう。

◆古山家をまとめる“唐沢三郎”の優しさ

 唐沢さんは取材会でのあいさつで、もう一人の息子役である佐久元さんにも優しさを見せていました。

「きょうは弟(浩二役の佐久元宝)が肩身の狭い感じもしますが、僕も(出演した)うちの奥さんが出ていた『純ちゃんの応援歌』の時に、こう聞かれたらこれを話そうと決めていたのに、1つもこなかったんです、質問が(笑)。だから気持ちがすごくわかるんです。みなさん、どなたでもいいので質問していただきたいです(笑)」とユーモアを交えながら気づかい、佐久本さんにスポットを当てました。

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