「4月のはじめ頃は規制もそこまで厳しくなくて、ランニング等での外出が認められていました。ただ、ランニングの名目で外に出た学生がそのまま戻ってこないという事態が起きたのです。
それ以降は、ランニングの際も複数人で距離を取りながら走るように指示が出ました。脱柵者が出ると、その所属部隊の全員が駆り出されて校内捜索です。結局、この時の脱柵者は両親のいる実家で見つかって戻ってきましたが、管理体制は厳しくなっていきました」(前出の元学生)
全国の多くの大学では、早い段階から学生が在宅で講義を受けられるようにオンライン授業の環境整備が進んでいった。文部科学省の調査によれば、5月12日時点で全国1070大学等のうち、検討中のところを含めれば全体の96.7%が遠隔授業による対応にあたっていた。
ところが、防衛大ではシステム上の問題を理由に、オンライン授業が行なわれることは一切なく、学生たちも家に帰ることができないままとなったのだ。
緊急事態宣言の解除後も、問題は解決していない。座席の間隔を空けられる大教室の数が限られるなどの事情から、オンライン授業を行なっていないにもかかわらず、「対面授業の再開にはまだ1か月以上かかるのではないか」(前出・防衛大関係者)といわれているのだ。
集団生活のなかで感染者が出ればクラスター化する懸念がある。学生たちにも事細かな注意事項が与えられたという。ただ、講じられた対策が十分だったかには疑問の声もある。
食堂での食事や浴場の利用時間をグループごとに分けられたというが、入れ替えなどで並ぶ時に長い列ができており、感染リスクのある「3密」が避けられていたとは言い難い。前出の防衛大関係者がいう。