自衛隊という組織の特性上、情報管理は当然かもしれないが、それが内部で起きている問題を覆い隠すかたちとなっていたのではないか。防衛大の情報公開の姿勢にも疑問が拭えない。
5月7日から課題提出形式での授業訓練が徐々に再開されると、同22日には公式HPに〈先般より徐々に校務運営を平常に戻しつつあり、学生たちの表情も大変明るくなっております〉との文言が掲載された。
しかし、自殺未遂が相次いでいることなどをNEWSポストセブンが5月25日に報じると、一転して同27日には公式HPに〈ご家族の皆様へ〉と題した國分良成・防衛大学校長のメッセージが掲載される。そこでは、専門家によるカウンセリングなど学生のストレス軽減に努めてきたという説明とともに、
〈一部報道にもありましたとおり、先の見えない不安等により、思い悩む学生が複数名いたことは事実であり、防衛大学校としては、本年の特殊な環境との関係性について慎重に分析してまいります〉
と記している。慌てて沈静化を図ろうとしたことが窺えるが、5月下旬になっても学内で問題は相次いでいた。
家族宛ての手紙に検閲が
東京などの緊急事態宣言が解除された5月25日には、「リストカットをして自宅に一度帰った後、学内に戻っていた学生が脱柵する騒ぎが起きた」(別の防衛大関係者)というのである。さらには同日夜、脱柵した学生が所属する中隊の学生舎で「出火騒動」が起きる。
「火元は乾燥室だったのですが、そのこともよくわからず『直ちに避難するように』という命令があったので、煙のなかでどこへ避難したらいいのかわからず、右往左往する者もいて現場は混乱の極みだった。原因は明らかになっておらず、学内の誰かが火をつけたのではないかと疑う声も出ている」(同前)