●『鋭意』は“がんばって”という意味だけど、がんばるのは当たり前なので使用しない。
●『粛々と』は“静かに、おごそかに”という意味なので、『着実に』という意味で使うのは誤用。
具体的な理由や注意点を添えつつ、職員の理解を深めるようにしました」(市担当者・以下同)
これまでは、お役所言葉による問題が起きていた。
「市民から『上から目線だ』という職員への苦情がよくありました。専門用語などの難解な言葉を使っていたことがそういう印象を与える一因になっていたと考えています。また『検討してまいります』と発言した職員に対して、『曖昧な言葉を使うな』と指摘されたこともありました」
今回のコロナ禍における首相の発言や、小池都知事らが多用した「クラスター(=感染者集団)」や「オーバーシュート(=爆発的な患者の急増)」などの言葉についても、気になる点があったという。
「安倍首相の『前広に(=あらかじめ、前もって)』という言葉は難しいと感じました。また『クラスター』などの聞き慣れないカタカナ語は印象に残りやすいので注意喚起の効果が強まるかもしれませんが、言い換えや解説を添える配慮が必要です。特に、高齢者に対してカタカナ語は控えるべきだと思います」
型にはまった言葉を連ねるのではなく、受け手の身になってわかりやすさを重視する。こうした取り組みをすべてのお役所で見習ってほしい。
※女性セブン2020年7月2日号