国内

「喫緊・前広・フェーズ」、政治家・役所の伝わりづらい言葉

やたらとカタカナ語を使う小池知事(共同通信社)

 新型コロナウイルスの感染拡大や東京オリンピック・パラリンピックの延期により、首相や知事の会見を目にする機会が増えた。そこで感じるのが政治家の発言のわかりづらさ、伝わりづらさだ。しかし、どんな難解な言い回しも簡単な言葉に置き換えられるのだ。

 昨今の政治家や知事の会見では、日常生活ではあまり使わないカタカナ語や、漢字を多用した難しい言い回しをよく耳にする。

 たとえば安倍晋三首相のこんな言葉。

〈今般の新型コロナウイルス感染症の発生により医療崩壊が懸念されております。問題解決は喫緊の課題であり、国民のみなさまの不安を払拭すべく可及的速やかに諸般の対策を講じるべきと考えます。必要な措置は躊躇なく実施してまいる所存でございます。〉

 簡単に言い換えれば、「このたびの新型コロナウイルス感染症の発生で医療崩壊が心配されていて、素早く対応すべき課題です。国民のみなさまが不安を感じることのないよう、できるだけ早くさまざまな対策を行うべきと考えています。必要な対策はためらわずに実施しようと思います」と、この程度の内容だ。

 一方、小池百合子東京都知事は“カタカナ語”を頻繁に使う。

〈現状は新しいフェーズに入っているということであります。都と致しましては、さまざまなニーズに応えていくため、ガイドラインに沿って政策のブラッシュアップを図り、対策を進めてまいりたいと思います。〉

 こちらも簡単に言い換えると、「いまは新しい段階に入っています。都としては、さまざまな要求に応えるため、指針に沿って政策を改良し、対策を進めていきたいと思います」という内容である。

 これらの難しい言葉は“あたかも知っていて当然”とばかりに用いられているが、実際、どれだけの人が理解しているのだろうか。

 最近は、そうした状況の改善に動き出した自治体が複数存在する。その1つ、千葉県の銚子市役所では『お役所言葉改善みちしるべ』というマニュアルを2018年に発行した。

「お役所言葉は堅苦しい、曖昧で回りくどいといった悪い印象を市民に与えます。その結果、市政への理解を妨げ、信頼を損なう原因になっていました」と担当者は言う。

 そこで銚子市は全職員にアンケートを実施し、普段使いがちな難解語や窓口でのトラブル例など多くの声を集め、手引書を作成した。

「お役所言葉の具体例と改善例」や「わかりやすい文書の書き方」といった項目のほか、200近い難解語やカタカナ語の言い換え例が掲載されている。

「すでに手引書を作成していた他自治体を参考にしつつ、役所内で使用頻度の高いものを改善例として採用しました。また、誤用しがちなポイントも解説しています。たとえば、こんな具合です。

関連記事

トピックス

司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
横山剣氏(左)と作曲家・村井邦彦氏のスペシャル対談
《スペシャル対談・横山剣×村井邦彦》「荒井由実との出会い」「名盤『ひこうき雲』で起きた奇跡的な偶然」…現代日本音楽史のVIPが明かす至極のエピソード
週刊ポスト
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン