それよりも目が離せないのはふたりの進化する男だ。20年演歌を歌い続けトップまで登りつめた氷川きよしが、ポップスへと変化する第2形態。デビュー半年前からずっと私のラジオで曲をかけ続け「なんだ、このえらい歌のうまい奴は?」と思わせ、クチコミで噂を広げといてのドーンとデビュー。
いつもコンサートやら芝居を見に行くのだが、夜の部がなくて昼の部だけだったとき、見終わって帰路につくところで留守電が入っているのに気がついた。あの声で「高田センセー、今日は来て頂いて本当にありがとうございます。今日は夜がないということで、ひとりで電車に乗って帰ってみようと思い(ガガガー)あ~ぁ、どこだ? これどこへ向かってんだ? アーッ、逆~ッ」ガチャリと電話は切れた。迷子になる座長である。憎めない男なのだ。
カバーした『ボヘミアン・ラプソディ』や『限界突破×サバイバー』など、14曲が入った初のポップスアルバム『パピヨン』が出ました。
そしてバリ島に住んで10年、あの新庄劇場と呼ばれた新庄剛志がまた日本のプロ野球に帰ってきます。19日開幕するプロ野球、そこへ突然のサプライズ入団もあるかもしれません。20億円の横領詐欺被害を受けても白い歯で笑う48歳。どんな敬遠球だってサヨナラ安打にしてみせる人生です。
■イラスト/佐野文二郎
※週刊ポスト2020年7月3日号