「1人10万円」の給付金で手のひらを返した二階俊博自民党幹事長(写真/時事通信社)
◆首相にふさわしいのは「もらい泣き」ができる人
しかし、国民はコロナ時代の新しい政治を望んでいる。経済ジャーナリストの荻原博子さんは「アベノミクスは時代遅れ」とこう言う。
「もうコロナ前のような社会や経済に戻ると期待してはいけない。リモートワークが主流になれば、都会のど真ん中にオフィスはいらない。毎日満員電車で通勤するのではなく、田舎に会社を移して、社員は徒歩圏内に住み、お昼は自宅で食べる。個々に合った生活が選べるようになっていく。私の知っている会社はすでにそうしています。そんな社会に変わろうとするとき、オリンピックを招致して大規模な競技場など箱モノを造り、企業が儲かるという安倍首相が目指した戦後の高度経済成長期のような政策、昭和の価値観は通用しない」
経済評論家で同志社大学大学院教授の浜矩子さんは新しい時代のリーダーに求められる資質を語る。
「人の痛みがわかる人、に尽きる。“もらい泣き”ができる人と言い換えてもいいでしょう。他人が苦しんでいることに思いをはせて泣けるようになるのは大人になっていく過程であり、だから成熟した大人はもらい泣きができる。その感性は安倍さんにも、トランプ大統領にも皆無です。
ドイツのメルケル首相は、国民にロックダウンをお願いするときも、なぜ必要なのかを丁寧に説明していた。自分の考え、思いを誠実に語る姿勢には、良識と見識、知性が揃っていると感じられた。次の首相には、彼女のような国民が危機のときに本当に頼れる政治家であってほしい」
東京新聞記者の望月衣塑子さんはこんな総理を望む。
「公平だなと思える人ですね。お友達内閣をずっと見てきたせいもあって、政治には公平さが担保されることが大切だと考えます。それも含めて、自分が権力者であることを自覚し、それを振りかざしたり、無自覚に使うことがいかに危険で政治の公正さを損なうかをわきまえている人であってほしい」
次の総理にどんな政治家が選ばれ、どんな社会をつくろうとするのか。それが決まるのはもうすぐだ。総理にふさわしくない人物が選ばれることがないようにするには、いま、国民が政治に関心を持ち続けることが重要になる。
※女性セブン2020年7月23日号