今バリキャリの人にとっては、仕事一本の姿もどこか痛々しいと感じている。専業主婦にとっては、影法師の家事労働のみで人生終えるのもいや。第三の道がないものか、とかあれこれ考えさせられる。そうしたごちゃごちゃした人生の問題を軽やかなコメディタッチで描くドラマに多部ちゃんを登用したことは正解。ぴたっとはまっています。話題になった『これは経理で落ちません!』(2019年NHK)の経理部OLの姿も重なって見えてきます。
想定外だったのが、働く女性たちの悲鳴を受け止める存在としてのキモカワイイ大森さん。当初はちょっと唐突なキャステイングかと思いましたが、エプロン姿が想像以上に似合っている。にこやかで柔らかく、主張しない引き算的演技が素晴らしい。スーパーな家事をこなした上、格安の材料で美味しい料理まで作ってくれる癒やし効果バツグンの存在です。「私の家にも来て欲しい!」という声が続出するのもわかる。
今期の夏ドラマを見回すと、キムタクと斎藤工、綾野剛と星野源と、男二人の“バディもの”が注目されていますが、こちらのバディ──バリバリ働くバリキャリ女とキモカワイイ中年男の奇妙なマッチングもいい味を出しています。
「バディ」とはそもそも軍隊等で使われてきた用語で「単独行動が許されない状況下で組む相手」のこと。生きにくいこの現代社会では日々の生活すら単独では乗り越えがたく数々の難問が山積している修羅場かも。だからこそ格好の相棒=バディが求められている、ということをこのドラマは教えてくれています。