溝口:中田組長は一時期、六代目山口組に戻る工作をしていたとされており、そこに不信感を持つ者も多いと聞く。
鈴木:何より勾留中ですから、どれだけ中田組長の指示に従うのか。やっぱり暴力団というのは、組長が事務所で定例会を開いて下の人間に圧をかけ続けないと成り立たない。今のヤクザは親分が子分を食わせるのではなく、子分から親分がカネを吸い上げる理不尽な仕組みで運営されている。山健組も、抗争で事務所の使用を制限されたことが、騒動の遠因にあると思います。
溝口:それはあるでしょうね。ヤクザに「リモート会議」は無理だということ。
【PROFILE】
◆みぞぐち・あつし/1942年、東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業。ノンフィクション作家。『食肉の帝王』で2004年に講談社ノンフィクション賞を受賞。主な著書に『暴力団』『山口組三国志 織田絆誠という男』など。
◆すずき・ともひこ/1966年、北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『サカナとヤクザ』『ヤクザときどきピアノ』など。
※週刊ポスト2020年7月31日・8月7日号