ライフ

珍しく外出した認知症女性、ミミズとトカゲから受けた刺激

外出した84歳を“足元で”ほっこりさせた相手とは(写真はイメージ)

 認知症の母(85才)を支える立場の『女性セブン』N記者(56才・女性)が、介護の日々を綴る。今回は、母との外出時のエピソードを紹介する。

 * * *
 緊急事態宣言解除後も高齢者施設の外出自粛は頑強だ。仕方がないが、母の認知症はグンと進み、外の刺激がいかに大事かを思い知った。そんな私と母に活を入れたのは、雨上がりの道で身をよじらせるミミズだった。

外出は認知症の特効薬かもしれない

 母はアルツハイマー型認知症だが、朗らかに暮らしている。もちろん記憶障害はあるが、できないところはヘルパーさんが手伝ってくれるし、若い頃のやや気難しいところが和らいで、認知症もそう悪くない気さえしている。

 しかし、初めからそうだったわけではない。7年前の診断当初は母自身が大混乱。妄想と暴言にまみれ、身なりも別人のようになってしまった。

 頭を抱えた私が、暗闇の中で見つけた光明が“外出”だ。ゴミ屋敷化した家で母娘が向き合うと罵声と物も飛び交う地獄なのに、ふたりで一歩外に出ると、母はまた別人に、いや元の母に戻ったのだ。

 すれ違う子供たちに明るく声をかけ、道端の花がきれいだと感動し、街に出るとレストランの看板を見て「何か食べよう」と誘ってきた。

 正直、その豹変ぶりにも大いに戸惑ったが、病気の殻の中に母がちゃんと生きているようにも思えた。きっと外に出ると、思わず本当の母が顔を出すのではないかと…。

 以来、母を外に連れ出すことが私の任務と心得ている。通院、散歩と目的は何であれ、とにかく家の外に出ること。一緒に歩くと私も心が晴れ、外気の効用を実感するのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン