「熱帯じゃなくて、亜熱帯」と自身の世代について語った古舘伊知郎(写真/時事通信社)

 昭和29年生まれの1人である古舘伊知郎は、過去のインタビューで自らの世代についてこう語っている。

《頑張りたいんだけど、団塊の世代ほど頑張れない。熱くなりたいんだけど、そこまで熱くなれない。熱帯じゃなくて、亜熱帯かな》

 日本人が経験した「戦争」をまったく知らない初めての世代であることも大きな特徴だ。焼け跡からの復興は急ピッチで進み、「もはや戦後ではない」と高らかに宣言した経済白書が出版されたのは彼らが2才になる昭和31年。

「団塊の世代は戦後の爪痕や貧乏を体験ずみで、打たれ強く、反戦の意識も高いのですが、29年生まれになると戦争のにおいも消え、右肩上がりの経済の中、豊かさと消費のライフスタイルを享受。“私らしい”主張や各種ブランドにこだわる風潮が広がった時代でもありました」(宮本さん)

 高度経済成長の只中、5才のときに皇太子さまと美智子さまのご成婚パレードを見て、10才のとき東京オリンピックを体験している。華やかで右肩上がりの日本とともに成長した世代に衝撃を与えたのが、昭和47年のあさま山荘事件だった。

 同年2月、共産主義革命を目指す連合赤軍5名が長野県軽井沢のあさま山荘に乱入し、管理人の妻を人質にして籠城した。警察当局との激しい銃撃戦を経て、人質は救出され連合赤軍のメンバーはすべて逮捕された。その過程で、“革命”という理想を掲げていたにもかかわらず仲間を内ゲバリンチで殺していた事実がわかり、世を震撼させた。

 あさま山荘事件は、約10日にわたる一部始終がテレビで生中継され、最高視聴率は90%を超えた。極寒の山荘めがけて、何度も打ち付けられる大きな鉄球。固唾を呑んでその様子を見守っていたのが、当時18才の秋吉久美子だった。

「この事件によって『正義って何だろう』『責任をとるってどういうことなのか』を深く考えるようになりました」

 秋吉は48年前の衝撃を昨日のことのように振り返る。

「当時の私は、最も心が柔らかで感受性が強い時期。小学生の頃から『三銃士』や『ロビン・フッド』『モンテ・クリスト伯』などの小説を夢中で読み、出てくるヒーローやヒロインたちをお手本に、どう生きていくべきかを懸命に考えていた。だけど連合赤軍が物語のヒーローのように理想を掲げながらも、自分たちの友達を殺すなんて、『これは違うぞ』と思った。私が本の中で浸ってきた、理念や正義を体現する登場人物との差違に愕然としたんです。正義は“諸刃の剣”なんだと感じました」(秋吉)

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