鶴竜が所属する陸奥部屋は両国国技館のすぐ近くにあり、ファンを含めた関係者の目が多い立地だが、休場中の部屋周辺での目撃情報はなかった。
「2007年7月には当時の横綱・朝青龍が、腰骨の疲労骨折などを理由に夏巡業を休業しながらモンゴルでサッカーをしたことが問題となり、2場所の出場停止処分を受けた。2人の横綱は、いま何かあれば協会から引退勧告などの厳しい処分を突きつけられかねないので、休場中の行動には慎重に慎重を重ねているという」(同前)
両横綱以外にも幕内力士で豊山(前頭4)、霧馬山(前頭5)、琴奨菊(前頭11)など途中休場が相次ぎ、初日から3連敗していた大関・朝乃山が2つも不戦勝を拾って“優勝争い”に顔を出す始末。
「朝乃山、貴景勝の両大関がピリッとしない土俵内容だから、白鵬も鶴竜も安心して休めてしまっている状況がある。日本人横綱が誕生すれば協会も休んでばかりのモンゴル横綱に厳しく指導できるので、“大量休場場所”で両大関に圧倒的な強さを見せつけてもらいたかったが、平幕の活躍で終盤まで大混戦。格好のチャンスを逃した」(協会関係者)
いい加減な行動管理、上位力士たちの打算や思惑──休場力士だらけの本場所の裏側から、国技の危機が炙り出された。
※週刊ポスト2020年10月9日号