1日24時間の出来事を24話で描くスタイルとは、つまり「時間が主役」ということ。すべてが時間に引きずられて動いていく。時間に身を委ね時間に追われてさまざまなものが走っていく。余計な説明が入り込む余地はないので、日本のドラマにありがちの過剰な説明セリフがごっそりとそぎ落とされ、その分ヒリヒリするソリッドな仕上がりになった、とは言えないでしょうか?
説明が少ないと必然的に不思議さや謎が残り、今何が起こっているのかがよく把握できないからこそ興味がかき立てられる。
「モノマネにはならないようにしています」と語るのは主役CTU第1支部A班・獅堂現馬を演じる唐沢寿明さん。「獅堂現馬は、ジャック・バウアーじゃないことは確かです。サザーランドさんの演技は真似できないし、彼も僕の演技は真似できない。俳優ってそういうものだから」(「リアルサウンド」2020.10.9)と、潔いほど腹をくくってこのドラマに挑んでいるようです。
唐沢さんは最近CMやNHK朝ドラ『エール』の三郎役などで道化的な演技が目立っていたけれど、このドラマにおふざけ要素が入り込む余地はない。これでもかと見せていたコント風小芝居も封印することになる。今回の演技が役者としての転換となるのか、プラスに働くのか。いずれにせよ偉大すぎるオリジナル作品があるからこそ、逆に日本でのドラマ作りに発見が生まれるのでしょう。それを楽しむ新たなドラマと言えるかもしれません。