バチェラーに似たスペックを持つプライドがゆえに本心を出せない男性、屈託のない笑顔で第一印象は良いがそれ以外は武器を持たない男性、スーツ作りを愛しているとアピールするが途中でホテル王になりたいと語る一貫性に欠ける男性、と『バチェロレッテ』に集った男性たちは、皆どこかが足りない。だが、彼らが特殊な男性というわけではない。ごくありふれた、いや、世間ではたぶん高評価を受けているであろう男たちだ。だが世間の高評価は、福田が求める「運命の人」として、さして重要な要素ではないらしい。
ちなみに『バチェロレッテ』という番組で最も足りない部分を露呈したのは、司会者を務めるナイティナインの岡村隆史だったりもする。エピソード1の冒頭、参加メンバーが続々と映し出されるシーンを見て「『バチェロレッテ・ジャパン』と言ってるのに、明らかにジャパンじゃない人が紛れ込んでいましたけどね!」とツッコミを入れていた。
コラムニストの末席にいる僕ですら、自分の中にある差別や思い込みを自覚し、日々検証をしている。誰にもうなずいてもらえないコラムを書いてしまわないためだ。大物芸人であり、誰よりも声が届く岡村さんもそろそろ気付いて欲しい。表現者なのにも関わらず、多くの事柄に無自覚な自身の危うさに……。
●ヨシムラヒロム/1986年生まれ、東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使。五反田のコワーキングスペースpaoで月一回開かれるイベント「微学校」の校長としても活動中。著書に『美大生図鑑』(飛鳥新社)