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『バチェロレッテ』完璧な女性に畏怖する完璧でない男の見本市

『バチェロレッテ・ジャパン』司会に加わった新婚の岡村隆史(イラスト/ヨシムラヒロム)

『バチェロレッテ・ジャパン』スタジオ進行に加わった新婚の岡村隆史(イラスト/ヨシムラヒロム)

 ここで男女逆転したら、面白くなるんじゃないか。そんな発想で作られるコンテンツはこれまでにもあったが、『バチェラー』の男女逆転版を日本で作るのはまだ先になるだろう思っていたら、『バチェロレッテ・ジャパン』(Amazonプライム・ビデオ)が制作、配信された。コラムニストでイラストレーターのヨシムラヒロム氏が、単純に男女逆転の面白さを超えた興味深いコンテンツになった『バチェロレッテ』の面白さと、笑ったあとに襲ってくる恐ろしさについて考えた。

 * * *
 10月9日からAmazonプライム・ビデオで配信されている『バチェロレッテ・ジャパン』にハマっている。外見も良く、リッチでもある一人の独身男性(バチェラー)を多数の女性が奪い合う『バチェラー・ジャパン』の男女逆転版だ。今回は一人の独身女性(バチェロレッテ)を巡って、17人の男性が戦っている。

『バチェラー』は過去3シリーズ配信されている。個人的にシーズン1が最高潮であり、シーズン2、3と視聴するテンションが下がっていった。それゆえ当初は、『バチェロレッテ』ってどうなんだろうと疑っていた。

 しかしエピソード1を観て、考えを改める。この2つの番組の目的は「真実の愛」の発見であり、どちらも各エピソードの終盤で残るメンバー、落とされるメンバーが決まる。同じコンセプトとルールで番組は進行していくわけだが、男女が逆転した『バチェロレッテ』で描かれた恋愛ドラマは『バチェラー』とは異なっていた。

 一般男性にとって『バチェラー』は対岸の火事、つまり他人事だったと思う。そのため、浮世離れした男女のやりとりを、バラエティ番組を観るような気軽さで眺めることが出来た。だが、『バチェロレッテ』は違う。今作でバチェロレッテ役を務める福田萌子は、舐めた態度での鑑賞を許してくれない。福田は男性に芯の強さを求めている。

 番組で語られる芯の強さの正体を知りたくて、取材で会った『バチェラー』出演者の女性陣に、バチェロレッテ・福田が欲する男性像がどのように見えているのかを聞いたことがある。その際、「福田さんは『この人の子供が産みたい!』と思う男性を求めていると思った。やっぱり女性は強い遺伝子が欲しいんだよね」と返答された。

 年収、社会的地位、外見にこだわらない福田は、男性が普段見せることを好まない素の部分を最も気にする。福田の「あなたはどうなの?」という問いかけを番組内で何度聞いたことだろう。この問いかけが、福田に気に入られたい男性たちを困惑させ、ときに滑稽な言動を起こさせる。

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