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2020.10.31 16:00  NEWSポストセブン

森七菜が躍動の『恋あた』 痒いところに手が届きすぎる出来

森七菜は全身で演技

 大作が必ずしも高評価を得るとは限らないのがドラマの面白いところである。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 いよいよ秋ドラマも全貌が見えつつあります。特に楽しみなのが、有名脚本家らによるオリジナル作品の競演。ズラリ揃った注目ドラマのバトルが見所の一つと言っていいでしょう。

 スタート順に、まず『女王の教室』『家政婦のミタ』をはじめ話題作を生んできた個性派脚本家・遊川和彦氏による書き下ろし『35歳の少女』(日本テレビ系土曜 22:00)。精神年齢が10歳のまま止まってしまった「35歳の女性」が主人公というトンデモ設定。柴咲コウ主演の「リアル浦島太郎譚」とも言える構成に最初から驚かされました。

 そして、大御所プロデューサーの秋元康氏が企画・原作を担当し、大根仁氏が脚本・監督を務めて注目を集めている『共演NG』(テレビ東京系月曜 22:00)。中井貴一と鈴木京香がW主演とテレ東らしからぬ?豪華なキャスティング、その裏をかくような「業界モノ」の巧妙な仕掛けには初回から揺さぶられました。

 一方、『姉ちゃんの恋人』(フジテレビ系火曜 21:00)は岡田惠和氏が脚本を担当しNHK朝ドラ『ひよっこ』等でも絶好調だった有村架純とのタッグ。ほのぼのとした岡田ワールド全開。弟3人を養うためにホームセンターで働く肝っ玉姉ちゃん(有村架純)の家族物語。

 と、まさに個性的な作品並んでいます。それぞれ力が入っていてテーマ性あり狙いあり仕掛けあり。が、そうした並み居る大物たちが手がけるドラマを横目に、頭一つ抜け出した「巧さ」を見せつけるオリジナル作品が。神森万里江氏という脚本家は上記に比べれば認知度として落ちるのかもしれません。が、だからといって『この恋あたためますか』(TBS系火曜午後10時)を見逃すわけにはいきません。

 物語は……業界最下位のコンビニ店アルバイトと社長の奮闘や恋を描くストーリー。アルバイトの井上樹木役に森七菜、相手役の社長を中村倫也が演じています。一見すると、コンビニという日常の中の日常がテーマであり、スイーツ商品の開発物語という理解しやすさ、そのタイトルからしてどこかで見たドラマの焼き直しのベタな恋愛ドラマかと思いきや……。

 ドラマの基本である「役者・演出・脚本」の3要素が、いずれもズバ抜けて上手で文句の付け所がない。痒いところに手が届きすぎて、あっけに取られたまま第一話、第二話を見てしまいました。あらためて『この恋あたためますか』の魅力をドラマの3要素に沿って見ていくと──。

●役者の巧さ

 何が面白いと言って、まず主演の森七菜さんの演技が巧い。まだデビューから3年の19歳というのに、間合い、呼吸、瞳の動きがセリフにぴたりとシンクロ。心の動きを繊細に表現し、手、指、首、足の動きも活き活きと躍動感があって全身演技。アドリブなのか演出なのかわからない瞬間のボディランゲージが決まっている。

 対称的に、森さんの芝居を受ける浅羽社長役・中村倫也さんは表情をしっかりと制御し静かな大人の風合いで2人の対比が鮮やか。さらにスイーツ開発担当者に仲野太賀、石橋静河、企業スタッフとして市川実日子、山本耕史ら、個性的で芸達者な人々の配置が絶妙。

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