かつて厚労大臣として年金改革などに従事した舛添氏は「こんな大改革をすぐ実現するのは難しい」と語る。ただ、だから団塊は安泰だという保証はどこにもない。竹中氏は小泉政権下で経済財政担当大臣として、今やブラックジョークにしか聞こえない「100年安心年金」にかかわった人物だ。
「この時(2004年)導入されたマクロ経済スライドのように、年金減額のための新たな仕組みが導入される可能性は十分にある」(舛添氏)
日々の生活に直結する消費税に関しても不安が残る。
菅首相が自らの相談役となる内閣官房参与に新たに任命した7人の中に、嘉悦大教授の高橋洋一氏がいる。高橋氏は消費減税論者として知られているが、一方、大和総研チーフエコノミストで、安倍政権時代からの税制調査会特別委員を務める、消費増税論者の熊谷亮丸氏も名を連ねている。まさに呉越同舟のような状態だが、伊藤氏はこう見る。
「両睨みという姿勢を見せているだけで、いずれは増税を考えていると思います」
菅首相は総裁選中に、将来の消費増税について言及したが、批判が高まり「今後10年は必要ない」と撤回した経緯がある。今後菅首相にとってどちらの意見が「腑に落ちる」か、注目である。
※週刊ポスト2020年11月6・13日号