ライフ

コロナ禍の冬、サ高住で認知症の親が発熱したらどうする?

風邪やコロナになったら、どうする

サ高住で風邪やコロナになったら、どうする(写真はイメージ)

 認知症の母(85才)を支える立場の『女性セブン』N記者(56才)が、介護の日々の裏側を綴る。今回は、「発熱」にまつわるエピソードだ。

 * * *
 今夏は感染防止か脳体力低下回避かの攻防戦に明け暮れ、気がつけば今年も残すところ約2か月。今冬はコロナの影響で、発熱すると厄介なことになるらしい。自治体とかかりつけ医の体制を確認しつつ、緊急時のシミュレーションをしてみた。

サ高住の自室隔離が難しい認知症の母

「万が一、お母様が発熱した場合はですね……」と、苦渋の表情で切り出したのは母が住むサ高住(※サービス付き高齢者向け住宅)の本部職員さん。新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の事態にマニュアルはなく、個別対応となる。

 老人ホームと違ってサ高住は自由が売り。自宅で暮らすのと同じように買い物や散歩に出かける人もいるし、母は週1回のデイケアも再開した。しかし、裏を返せば自由を行使する代わりに感染リスクも背負う。そして母のサ高住の場合、食堂などを居住者みんなで共有しているため、感染すればクラスターが発生する可能性もある。背負ったリスクはとてつもなく大きいのだ。

 そんな中で発熱すると、いまや通常の受診はできない。かかりつけ医の定期受診も“熱がない元気な状態”でないとできない奇妙な状況だ。もしも母が発熱したら、すぐに電話で受診方法を相談し、指示に従って病院へ連れて行く。今冬は「しばらく様子を見る」という選択肢はない。

「はい、その場合は速やかに私が対処します」と伝えると、職員さんは少し安堵の表情を見せた。

「さらに万が一の場合なんですが、お母様が濃厚接触者になってしまったときは……」

 これが本題だ。デイケアなどで外に出る以上、このリスクは否めない。母の場合は認知症があるので少々厄介だ。

「濃厚接触者になると保健所などから連絡が来てPCR検査を受けることになります。ただ検査に行くまでの間は自室にいていただかなくてはならないのですが……」

 つまりサ高住内を歩き回るわけにはいかない。検査機関に行くまでにどのくらい時間がかかるかわからないが、言ってもすぐ忘れてしまう母に自室隔離はまず無理だろう。

「わかりました。その際は私が母の部屋に泊まり込んで、責任をもって隔離します」

 覚悟を決めて言うと、やっと職員さんの表情が緩んだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン