「実は、私がバラエティーの世界に誘ったのよ」
そう言って笑みを浮かべるのは美川憲一(74才)だ。
「1990年代の後半のことね。芸能人が一般人の人生相談をする番組の人気が出始めたときで、“デヴィ夫人が適任よ!”って思ったの。それでニューヨークにいる夫人に電話してお誘いしたのよ。最初は躊躇していたけど、“あなたならどこに入っても負けないわよ!”って私が言ってね。当初はギャラ交渉もプロデューサーへの挨拶も私が段取りしたの」
美川のその予感は見事に的中。デヴィ夫人の刃物のような言説に、視聴者は釘付けになり、あれよあれよという間に、ワイドショーやバラエティー番組の常連となり、CMにも登用されるようになった。デヴィ夫人にとって美川は〝恩人〟といえるかもしれない。
「夫人はちゃんと自分のカラーがわかっていて“何か話さないといけない”というリップサービスもできる人。でも、怒りの感情とかは全部リアルね。収録で“うるさい、ババア!”って言われて、返す刀で本気でキレている夫人をよく目の当たりにしていましたもの」(美川)
そんなデヴィ夫人を今後も起用し続けるというテレビ局関係者も、デヴィ夫人の感情面には手を焼いているようだ。
「彼女に問題があるとしたら、感情の起伏がかなり激しいこと。普段は関係者への対応も丁寧なんですが、少しでもプライドを傷つけられるようなことを言われると、カッとなって手が出たり、しまいには訴訟を起こすと言ってきかなくなる。まるで、人が変わったかのようなんです。今回の失言も生放送でしたが、私も、生放送で起用するのはちょっと怖いですね(笑い)」
時に奔放に、時に周囲の求めているキャラクターを演じながら芸能界に長く残り続けるデヴィ夫人。彼女が画面から消えることはない、と断言するのは、この世界にデヴィ夫人を招き入れた美川だ。
「これからも夫人はしぶとく生きるわよー。テレビから消えるなんてないわよ。いまの時代に、あのしぶとさは大事なの。夫人の代わりなんてほかに誰もいないわ」
今回の失言騒動で反省しすぎたデヴィ夫人になると、テレビでの需要が……というのは杞憂のようである。
※女性セブン2020年11月19日号