一方で、自分たちのことも冷静に分析しているから興味深い。印象的だったのが今年のドラフトでソフトバンクから育成1位指名を受けた佐藤宏樹投手だ。
佐藤は1年秋にスピンの効いたストレートで奪三振の山を築き、無傷の3連勝を挙げて優勝に貢献したが、その後は肘痛に悩まされてきた。育成指名待ちか浪人を選択する覚悟を決め、大学最後の今年の秋のリーグ戦を捨ててまでトミー・ジョン手術を受けた苦労人である。
「早稲田の選手と比べると、絶対的に練習量の差があるのかなと思います。そのため慶應の選手はプロという新しい環境の中でついていくだけで精一杯になってしまい、レベルアップの練習まで追いつかないのではないでしょうか。それに慶應の選手は自分の意志が強すぎる傾向がある。指揮官から助言を貰っても考えを曲げない人が多く、それが裏目に出てしまう場合もあるんじゃないかと思います」
■撮影/山崎力夫
※週刊ポスト2020年11月30日号