この背景には、2022年の大統領選挙が絡んでいるとも言われている。現職のジャイル・ボルソナーロ大統領と選挙のライバルとなりそうなブラジル最大の人口を擁するサンパウロ州のジョン・ドリア知事の政治的な対立が、影響しているというのだ。
ボルソナーロ氏は「英アストラゼネカ製のワクチンを好んでいる」と公の場で発言する一方、中国製のワクチンは購入しないと発言している。ドリア氏はサンパウロ州の研究所で治験を行ったことからも、シノバック製のワクチンを支持している。ブラジルがどちらのワクチンを採用するか、その結果はどうなるかは、2022年の大統領選を左右する大きなポイントになることは間違いないだろう。
しかし、一連の治験騒動については国民の命を政争の具にするべきではないとの声が上がっている。