「久志は窓辺に座って登場したのですが、それは、ぼくが本番で勝手に座ったのが、採用されたんです。台本では『後ろに立っている』とだけ書かれていたのですが、もっと美しくいたいなと思ってね。台本も大切にしつつ、この方が印象的だなと思ったら、提案するようにしています」
ミュージックティーチャーこと御手洗清太郎(古川雄大)とのシーンもほぼアドリブだ。
「雄大は、ミュージカル界の後輩でもありますし、ずっと一緒に舞台で演じてきているので、彼がどういうふうに動くか、言わなくてもわかるんです。初めて会うシーンでは、ぼくが勝手に発声練習をしながらターンをしつつ自己紹介をしたのですが、彼もそれに乗ってくれて、いいシーンになりました(と、満足そうにうなずく)。昔から舞台で共演してきた仲間の存在は大きいですね」
現場では久志になり切り、積極的にアイディアも出すが、現場を離れれば、意外にも役のことは考えないという。
◇山崎育三郎
1986年1月18日生まれ。東京都出身。2007年ミュージカル『レ・ミゼラブル』のマリウス役に抜擢され、注目を浴びる。2015年『下町ロケット』(TBS系)に出演し、テレビドラマの世界にも進出。連続テレビ小説『エール』の佐藤久志役で朝ドラ初出演。ドラマの共演をきっかけに生まれた森山直太朗(44才)作詞作曲のシングル『君に伝えたいこと』が12月2日リリースに。
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2020年11月26日号