芸能

有村架純『姉ちゃんの恋人』 気恥ずかしさが表現するものは

有村架純

肝っ玉姉ちゃんを演じる有村架純

 脚本家の作家性がいかんなく発揮されている作品といえそうである。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析する。

 * * * 
『姉ちゃんの恋人』(カンテレ・フジテレビ系火曜午後9時)を見ていると、他のドラマから感じることの無い独特な感覚が立ち上がってきます。むずがゆさというのか、気恥ずかしさ、というのか。タイトルの「姉ちゃん」という呼び方からしてそう。「姉ちゃん姉ちゃん」となつく3人の弟たちの姿が、どこかこそばゆい。

 ドラマは両親を事故でなくした家族4人の物語。一家の大黒柱として3人の弟(高橋海人・日向亘・南出凌嘉)を育てる“肝っ玉姉ちゃん”安達桃子(有村架純)が主人公。弟たちは「姉ちゃん」の話題で盛り上がり「姉ちゃんが一番大事」と語り合う。その和気あいあいとしたシーンに、何ともしがたい気恥ずかしさを感じてしまうのは私だけ?

 視聴者の感想を眺めてみると、作品に好意的な感想も多い反面、「姉ちゃん大好き的なセリフは気持ち悪い」「有村架純や三兄弟を過度に可愛く見せる設定が過ぎる」「一家のキャピキャピが煩わしい」といった感想も目に入ります。今や兄弟が3人いれば、それぞれが主張したり各人の趣味やこだわりがあったりするのが自然な時代。だからこそ一体となった家族に視聴者はある種の異質感というか、こそばゆさを感じるのかもしれません。

 たしかに過去には、掛け値なしに支え合う家族や兄弟がドラマの中に見られました。「ホームドラマ」というジャンルが確立し、『肝っ玉かあさん』や『時間ですよ』など仲の良い家族ぶりを描くのが王道だった時代もありました。刺激的な犯罪も家族の決定的な不和もなく、口喧嘩はしても安心して見ていられる家族像。しかし今のドラマにおいてはまるで別世界です。

 放送中のドラマを眺めてみると……「極端な非日常」の設定が大半であることに気付きます。夫が失踪し巨額の遺産相続でもめたり、35歳の女性の精神年齢が10歳だったり、大企業の駆け出し新米社員が社長と恋愛したり、ベテラン大物男優と大物女優の反目だったり。極端な設定にしなければ視聴者の関心を惹けない、見てもらえない、という思考回路が制作陣にありそう。いや、それに影響された私たち視聴者側にもほのぼのした家族ドラマを見るモードが失われつつあったのかもしれません。

『姉ちゃんの恋人』というホームドラマを、時代遅れと批判したいのではありません。制作サイドはこの時代に敢えて意図して作り上げている。そこに明確な狙いやテーマ性があるはず。脚本を担当するのはNHK朝ドラで『ちゅらさん』『おひさま』『ひよっこ』3本を手がけたベテラン、岡田惠和さん。それだけにこの「気恥ずかしさ」を通して一体何を表現しようとしているのか……興味が湧きます。

 岡田氏はかつて「昔から気になるのは、目立たない、クラスの隅にいる人でした」と語っていました。「迷ったり、傷ついたり、ときに逃げてしまったり、後悔したりしながら生きていく登場人物たちを、最後まで見届けてもらえたら」(週刊文春 2019年8月8日号)とも。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ブログ上の内容がたびたび炎上する黒沢が真意を語った
「月に50万円は簡単」発言で大炎上の黒沢年雄(81)、批判意見に大反論「時代のせいにしてる人は、何をやってもダメ!」「若いうちはパワーがあるんだから」当時の「ヤバすぎる働き方」
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《お出かけスリーショット》小室眞子さんが赤ちゃんを抱えて“ママの顔”「五感を刺激するモンテッソーリ式ベビーグッズ」に育児の覚悟、夫婦で「成年式」を辞退
NEWSポストセブン
負担の多い二刀流を支える真美子さん
《水着の真美子さんと自宅プールで》大谷翔平を支える「家族の徹底サポート」、妻が愛娘のベビーカーを押して観戦…インタビューで語っていた「幸せを感じる瞬間」
NEWSポストセブン
佐藤輝明
データで見る阪神・佐藤輝明の覚醒 「スライダーをホームランにする割合が急上昇」はスイングスピード向上の結果か 苦手な左投手、引っ張り一辺倒の悪癖も大きく改善
NEWSポストセブン
“トリプルボギー不倫”が報じられた栗永遼キャディーの妻・浅井咲希(時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》女子プロ2人が被害妻から“敵前逃亡”、唯一出場した川崎春花が「逃げられなかったワケ」
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“1000人以上の男性と寝た”金髪美女インフルエンサー(26)が若い女性たちの憧れの的に…「私も同じことがしたい」チャレンジ企画の模倣に女性起業家が警鐘
NEWSポストセブン
24時間テレビで共演する浜辺美波と永瀬廉(公式サイトより)
《お泊り報道で話題》24時間テレビで共演永瀬廉との“距離感”に注目集まる…浜辺美波が放送前日に投稿していた“配慮の一文”
NEWSポストセブン
山田美保子さんが、STARTO社アイドルたちのバラエティーでの底力
《バラエティー番組で輝くSTARTO社のアイドルたち》菊池風磨、松田元太、猪狩蒼弥…グループ全体として最もスキルが高いのはSixTONESか 山田美保子氏が分析
女性セブン
芸歴43年で“サスペンスドラマの帝王”の異名を持つ船越英一郎
《ベビーカーを押す妻の姿を半歩後ろから見つめて…》第一子誕生の船越英一郎(65)、心をほぐした再婚相手(42)の“自由人なスタンス”「他人に対して要求することがない」
NEWSポストセブン
阪神の主砲・佐藤輝明はいかにして覚醒したのか
《ついに覚醒》阪神の主砲・佐藤輝明 4球団競合で指名権を引き当てた矢野燿大・元監督らが振り返る“無名の高校生からドラ1になるまで”
週刊ポスト
韓国整形での経験談を明かしたみみたん
《鼻の付け根が赤黒く膿んで》インフルエンサー・みみたん(24)、韓国で美容整形を受けて「傷跡がカパッカパッと開いていた…」感染症治療の“苦悩”を明かす
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《眞子さんが見せた“ママの顔”》お出かけスリーショットで夫・小室圭さんが着用したTシャツに込められた「我が子への想い」
NEWSポストセブン