後楽園球場で行われた引退試合で投げる金田正一投手(時事通信フォト)

後楽園球場で行われた引退試合で投げる金田正一(時事通信フォト)

 それから8年後、昭和45年4月2日には400勝投手の金田正一の引退試合が行われた。ヤクルトとのオープン戦で、6回表に3人目として登板した金田は1回を11球で6番・武上四郎を遊飛、7番・中村国昭を投ゴロ、8番・久代義明を三振に斬って取った。中村の打球はライナーだったが、金田がグラブで叩き落として処理している。

 巨人への闘志を剥き出しにして立ち向かった阪神・村山実の引退試合は、昭和48年3月21日、甲子園球場で行われた巨人とのオープン戦だった。7回に登板した村山は高田繁、末次利光、王貞治に対して12球全てフォークボールを投じ、3者連続三振を奪ってプロ野球生活に幕を閉じた。この日、村山の永遠のライバルである長嶋茂雄は3日前の死球と扁桃腺が腫れていた影響で、ベンチ入りしていなかった。試合後、王はこうコメントしている。

〈別に打合わせたわけではないんだが、前の2人の三振をみていてやっぱりこういう形で送り出してあげるのが一番いいんじゃないかと思ってね〉(昭和48年3月22日・朝日新聞夕刊)

 現在のところ、最後の300勝投手である近鉄・鈴木啓示は昭和61年3月16日、阪神とのオープン戦で花道を飾った。2回にマウンドに上がり、掛布雅之と対戦。3球連続ボールの後、掛布が三度空振りして三振。自ら“道場”と呼んだ藤井寺球場を後にした。

「真剣に打ってくれて、うれしかった」

 別所も金田も村山も鈴木啓示も、最後の打者から三振を奪っている。昭和の頃から慣習はあったようだ。しかし、必ずしもラストバッターが打ち取られているわけでもない。

 昭和34年にシーズン38勝を上げた南海の大エース・杉浦忠は、昭和46年3月25日の巨人とのオープン戦(大阪球場)。5回終了後にゲームを中断し、特別に立教大学時代の盟友である長嶋茂雄と対戦した。結果は、センター前ヒットだった。試合後の記者会見では〈向うも真剣に打ってくれて……。妙なことをしてもらうよりあの方がうれしかった〉(昭和46年3月26日・朝日新聞)と語った。それから、27年後にもこう述べている。

〈2球目をセンター前へはじき返されてねえ。三振してくれるとばかり思ってたら……。1球目の外角直球があまりにいいボールだったから、つい本気になったんでしょう。最後に長嶋の本能を呼び覚ますことができて、うれしかった〉(平成10年10月28日・毎日新聞大阪夕刊)

関連記事

トピックス

「第8回みどりの『わ』交流のつどい」で、受賞者に拍手を送られる佳子さま(2025年12月、共同通信社)
「心を掴まれてしまった」秋篠宮家・佳子さまが海外SNSで“バズ素材”に…子どもとの会話に外国人ユーザーらがウットリ《親しみやすいプリンセス》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ・BLACKPINKのリサ(Instagramより)
《目のやり場に困る》BLACKPINKのリサ、授賞式→アフターパーティの衣装チェンジで魅せた「見せる下着」の華麗な着こなし
NEWSポストセブン
3月末で「FOMAサービス」が終了する
《3月末FOMAサービス終了で大混乱!?》ドコモショップで繰り広げられた「老害の見本市」な光景、店員を困惑させる年配客たち 暗証番号わからず「どうにかして」、説明する店員に「最近の若いヤツは気がきかない」
NEWSポストセブン
「新年祝賀の儀」で彬子さまが着用されていたティアラが話題に(時事通信フォト)
《これまでと明らかに異なるデザイン》彬子さまが着用したティアラが話題に「元佐賀藩主・鍋島家出身の梨本宮伊都子妃ゆかりの品」か 2人には“筆まめ”の共通項も
週刊ポスト
真美子さんが目指す夫婦像とは(共同通信社)
《新婚当時から真美子さんとペアで利用》大谷翔平夫妻がお気に入りの“スポンサーアイテム”…「プライベートでも利用してくれる」企業オファーが殺到する“安心感”の理由
NEWSポストセブン
「講書始の儀」に初出席された悠仁さま(時事通信フォト)
《講書始の儀》悠仁さまが“綺麗な45度の一礼” 「紀子さまの憂慮もあって細かな準備があった」と皇室記者、新年祝賀の儀での秋篠宮さまの所作へのネット投稿も影響か
週刊ポスト
デビットベッカムと妻・ヴィクトリア(時事通信フォト)
〈ベッカム家が抱える“嫁姑問題”の現在〉長男の妻・ニコラがインスタから“ベッカム夫妻”の写真を全削除!「連絡は弁護士を通して」通達も
NEWSポストセブン
ニューヨーク市警に所属する新米女性警官が、会員制ポルノサイトにて、過激なランジェリーを身にまとった姿を投稿していたことが発覚した(Facebookより)
〈尻の割れ目に赤いTバックが…〉新米NY女性警官、“過激SNS”発覚の中身は?「完全に一線を超えている」
NEWSポストセブン
厳しい選挙が予想される現職大臣も(石原宏高・環境相/時事通信フォト)
《総選挙シミュレーション》公明票の動向がカギを握る首都決戦 現職大臣2人に落選危機、高市支持派アピールの丸川珠代氏は「夫とアベック復活」狙う
週刊ポスト
「ゼロ日」で59歳の男性と再婚したと報じられた坂口杏里さんだが…
《3年ぶり2度目のスピード離婚》坂口杏里さんの「ふっくら近影」に心配の声…「膝が痛くて…でもメンタルは安定してます」本人が明かした「59歳会社員との破局の背景」
NEWSポストセブン
笑いだけでなく「ふーん」「ええ!」「あー」といった声が人為的に追加される(イメージ)
《視聴者からクレームも》テレビ番組で多用される「声入れ」 若手スタッフに広がる危機感「時代遅れ」「視聴者をだましている感じがする」
NEWSポストセブン
北海道日高町で店の壁の内側から遺体が見つかった事件。逮捕された松倉俊彦容疑者(49)、被害者の工藤日菜野さん。(左・店舗のSNSより、右・知人提供)
「なんか臭くない?」「生ゴミを捨ててないからだよ」死体遺棄のバーで“明らかな異変”…松倉俊彦容疑者が見せた“不可解な動き”とは【日高・女性看護師死体遺棄】
NEWSポストセブン