四十九日を過ぎ、愛犬の納骨を済ませた秋吉久美子

四十九日を過ぎ、愛犬の納骨を済ませた秋吉久美子

 ペットの死をきっかけに、ふさぎ込んでしまう高齢者も多い。愛知県在住の高橋のり子さん(48才・仮名)の母親がそうだった。

「3年前、母が75才のときに17年間飼ってきた愛犬・シロが息を引き取りました。子犬の頃から育ててきたので、母の落ち込みは相当なものでした。いまでも“シロがいないと行く気がしない”といって日課だった散歩にも出ず、自宅にひきこもりがちの生活が続いています。ふと気がつくと、シロの写真を見ながら涙をポロポロこぼしていることもあって……。娘が犬アレルギーなので、母の死後、犬を引き取ることが難しいので、“次の子を飼っていいよ”とも言えません。こんな状態では、ペットロスで母の死が早まるのではないかと心配です」

犬猫の死因1位はあの病気

 こうした深刻なペットロス症候群に陥る人が増えているのはなぜか。前出の吉田さんは理由として、ペットを大切にする人や溺愛する人が増えたことを挙げる。

「洋服を着せたり、写真を頻繁にSNSに投稿するなど、子供以上にペットに愛情を注ぐ人が増えました。それが“ペット依存”につながり、亡くしたときには重いロス状態を引き起こしてしまうのです」

 もう1つの理由はペットの寿命が延び、共に過ごす時間が長くなったこと。そう指摘するのは、茶屋ヶ坂動物病院副院長の佐藤恵一さんだ。

「ペットの主な死因となっていた、ウイルス性の病気や寄生虫によるフィラリア症が予防できるようになり、犬や猫の平均寿命は年々上昇しています。現在では、人間と同様、加齢によって生じる可能性が高くなる、がんや心臓病が死因の多くを占めています」

 がんになった場合でも、人間同様、外科手術や抗がん剤、放射線治療などによって治るケースが増えた。

「例えば犬の場合、犬種によってもかかりやすいがん(悪性の腫瘍)が違うことが、研究でわかってきています。ゴールデンレトリーバーなら悪性リンパ腫や脾臓腫瘍が多く、パグなどの短頭種は肥満細胞腫、テリア犬種では膀胱がんになることが多い。私たち獣医師はおおむね8才頃から検診を推奨しています」(前出・佐藤さん)

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