国内

「逆学歴詐称」で東大卒ひた隠す年収230万円警備員の気苦労

(写真はイメージ)

「高卒」と学歴を低く偽る東大出身者も(写真はイメージ)

 東大出身者の中には、自身が「東大卒」であることを隠す人が少なからずいるという。ひがみや妬みの対象にもなりやすいため、隠す人の気持ちも理解できなくもないが、中にはかたくなに隠し通す者もいる。『東大なんか入らなきゃよかった 誰も教えてくれなかった不都合な話』(飛鳥新社)の著者で、自身も東大出身のライター・池田渓さんがリポートする。

 * * *
 学歴を意図的に偽ることは学歴詐称とされる。ショーンKや野村沙知代、古賀潤一郎元議員、疑惑にとどまるが小池百合子東京都知事など、芸能人や政治家が、実際には卒業してない大学を「卒業した」「修了して学位を取得した」などと偽り、後にそれが露見して仕事を失ったり、社会的制裁を受けたりしたという話は枚挙にいとまがない。

 通常、学歴詐称をする理由は、実際の学歴よりも高学歴に見せたいからだろう。ところが、世の中にはその逆の人もいる。僕がかつて取材で出会った東大文学部卒のS氏(男性・44才)は、自らの学歴を「高卒」と偽って今の仕事に就いていた。つまり、なんとも珍しい「逆学歴詐称」だ。そんな彼は都内の地下街で派遣の警備員をしている。管理部門ではなく現場の施設警備員だ。

 S氏は東大卒業後、全55巻の学習漫画シリーズ『マンガ日本の歴史』(中公文庫)を描いた石ノ森章太郎に憧れて学習漫画家になった。東大受験と同じ要領で、1日10時間の独学を真面目に1年続けて画力を身に付け、出版社からはコンスタントに仕事の依頼が来ていたそうだ。

 しかし、「自らの作家としてのブランディングに失敗した」とS氏は言う。あちこちの出版社でその時々の編集者に依頼されるまま漫画を描き散らしたが、苦労して描いた漫画はどれもさほど売れなかった。そもそも、学習漫画というジャンルは、それこそ『マンガ日本の歴史』のようなシリーズものでもない限り多くは売れない。

「東大受験とその後の教養課程で、色々な学問を広く浅く修めて、なまじ器用だったことが裏目に出たね。1つの出版社で1つの分野に絞ればよかった。本の内容も真面目すぎだったかな」

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト