二人の結婚に同級生たちは驚き、結婚式は大いに盛り上がった
◆「まったく恋愛対象にならなかった」相手との運命の再会
彼氏がいないまま30歳を過ぎたころ、実家に帰省した翔子さんは、高校の同級生に偶然再会する。それが、元夫の幸也(ゆきや)さんだった。
「地元の駅でばったり会ったんです。就職で悩んでいた頃で、私、人恋しかったんでしょうね(笑)。『久しぶり!』って愛想よく声かけたら、彼は驚いたようで、『え、どうしたの?』って。高校時代のイメージと全然違ったみたいで」
それもそのはず。幸也さんは高校時代、翔子さんに片思いをしていて、何度か告白したものの、すべて玉砕。そんな高校時代の“高嶺の花”が親しく声をかけてきたものだから、舞いあがったらしい。
高校時代は「まったく恋愛対象にならなかった」幸也さんと、この出会いをきっかけに翔子さんは付き合うことになる。
「タイミングがよかったし、昔からの知り合いなので、ラクだったんでしょうね。彼は関西で就職していて、会社でそれなりの経験を積んで、自信をつけていた。で、私にまだ好意を持ってくれていた。一方の私は、社会人経験はまったくないし、将来も見えない状態だった。霧のなかにいるような私に安定をもたらしてくれる存在だったんです」
翔子さんはその後、北関東の大学にポストを得るが、遠距離を乗り越えて32歳で結婚。関西の地元で行われた結婚式には幸也さんの高校時代の友達がつめかけたという。ほどなく関西の大学に移ることもでき、同居生活が始まった。
だが冷静な翔子さんには、この結婚は、リスクヘッジのためのものという思いがぬぐえなかったという。
「言ってみれば妥協です。一方で、他に好きな人がいたわけではないし、結婚ってそういうものかな、という気持ちもありました。一人より質の良い生活ができればそれでいいわけですから」
