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32歳で妥協婚の大学講師 3年で夫が離婚を切り出した理由

夫にとって、翔子さんは高校時代の”高嶺の花”だった

夫にとって翔子さんは、高校時代からの”高嶺の花”だった

◆一人でいるのはリスクが高い

 大学時代にも付き合っていた彼氏はいたが、卒業後、遠距離になって別れた。

「ある講義で声をかけられて付き合い始めたんですが、見た目も好みだったし、気が合って好きでしたね。でも、彼は関西で就職し、私は東京の大学の大学院に進んだので、遠距離になったんです。2、3年は頑張って続けていたんですが、彼は仕事が忙しいし、私は学生でお金がないしで、会う頻度が減って、だんだん疎遠になってしまった。まだ若かったので、新しい出会いがあるだろうって割り切ってしまったんです」

 ところが、新しい出会いはなかなか訪れなかった。論文執筆に忙しいこともあったし、元来、受け身の翔子さんは、男性に積極的になれなかった。

「付き合っても続かなかったり。行動範囲が狭いので、出会いも少なかった。その頃は、自分の将来を優先させようと思っていました。少しずつ非常勤講師の仕事をもらえるようになっていたけれど、どこかの大学に就職できるよう、いろいろと動いていました」

 ところで結婚願望はあったのだろうか? マイペースで、人との距離を適度に取る翔子さん。好きな研究ができ、安定した生活を手に入れれば、特段、結婚を望んでいないようにも感じるが。

「普通に結婚するのかな、という気持ちはありました。姉は高校を卒業後、就職して、早くに結婚しているんです。甥や姪が可愛いから、私も子供が欲しいと思っていました。

 それに、女ともだちが少ないのもあって、自分のことを好きな男の人といたほうがラクというか、そういう生活に慣れていた。私、車の運転もできないんですよ。やっぱり生活に男性がいたほうが便利というか、幅が広がる面って、けっこうありませんか? まあ、男性じゃなくてもよくて、一緒に生活する人、ですね。人生何が起きるかわからない。一人は色んな意味で、リスクが高いと思っていました」

 それは学者らしい、合理的な思考と捉えることもできる。だが、一人のリスクもあるが、二人のリスクがあるとも言えまいか。

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