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菅首相の発言はなぜ心に響かないか 外国首相との決定的違い

(写真/時事通信社)

菅首相の持ち味である「安定感」が裏目に(写真/時事通信社)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、菅義偉首相のコロナ対策について。

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 クリスマスには華やかな芸能人の話題を!と思ったものの、この1週間、テレビの情報番組やニュースで画面に映し出されていたのは、コロナの感染拡大による医療崩壊の危機を訴える医療関係者たちの深刻な顔。そして「Go Toトラベル」全国一斉停止を発表した直後、高齢者8人でステーキ会食していた事に対し、反省の言葉を口にする暗い顔の菅首相だ。

 暗い顔といっては首相に失礼だったか。いつもよりわずかに冴えない表情といった方が正しいだろう。「いつもより」と言えるほど、会見でも他の場面でも首相の口調や表情はほとんど変わらない。だが、この変わらないところが菅首相の特徴でもある。

 安倍政権の官房長官時代はそれがプラスになっていた。あの訥々とした口調や感情を露骨に出すことなく淡々とした表情、冷静で時に事務的でありながらも素朴さを感じさせる飾り気のない態度が、世間に安定感を強く印象付けていた。だが今、この安定感が裏目に出てしまっている気がする。

 淡々とした口調はメリハリがなく、単調で感情に訴えてこない。落ち着きや冷静さは力強さやスピード感、積極性を感じさせない。泰然とした構えや身振り手振りの少なさは、アピール性が低く人の目を引きつけない。平時で高く評価されることが有事でも評価されるとは限らないのだ。

 コロナ渦の現在、一国のリーダーに求められているのは強いリーダーシップだ。どの国でも、トップが国民の心を動かす印象的な会見を行えば話題になるように、人々に訴えかける強いメッセージ力が求められている。メッセージ力は政権の支持率に大きな影響を与える。

 メッセージ力には、発言内容という「言語情報」はもちろんだが、声のトーンや話す速度、口調という「聴覚情報」と、表情や身ぶり手ぶり、視線や身体の向きという「視覚情報」である非言語表現が含まれる。コミュニケーションで影響を与えるのは、言語情報が1割、視覚や聴覚情報が9割という「メラビアンの法則」にあるように、感情や気持ちを伝える非言語表現なのだ。

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