そこを見極めるポイントは、普段からメールやSNS、電話のレスポンスが早いかどうか。“できる人”はたくさんの患者を抱えているので、あとでやろうなどと考えず、やるべきことはその場で解決するものです」
そのうえで、上氏はコロナで政府や国民が忘れている重大な問題を指摘する。
「実はコロナが蔓延する前に、医療界では抗生物質が効かない耐性菌の問題が注目されていました。オリンピックで海外からたくさんの人が来ると、国内に耐性菌が広がるという懸念があったのです。中東やインドなどの南アジアでは、医師があまりいないので抗生物質を薬局で処方して乱用しているケースが多く、そのせいで耐性菌がたくさんできてしまっている。日本では耐性菌の院内感染は非常に少なかったのですが、オリンピックとそれに関するインバウンドで耐性菌を持つ人が国内に入って、病院に来たりすると院内感染が起きると心配されていました。
コロナで注目されなくなっていますが、本当に2021年にオリンピックを開催するとなると、対策が不十分なまま、今度は耐性菌の国内での蔓延が起きるおそれがあります」
菅政権は、医療界の警告を無視してGo Toキャンペーンを強行し、コロナ第3波を招いた。医療崩壊の危機を目の当たりにして慌ててGo Toを停止したが、オリンピックについては開催に前のめりになっている。これでまた医療者の警告を聞かずに新たな医療崩壊を引き起こすようなら、棄民政治ここに極まれりだ。今度こそ、問題が起きる前にリスクを広く知らせて国民的議論を尽くすべきだろう。