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2020年にひっそりと消えたクルマたち なぜ切り捨てられたか

カッコ悪ければクルマは売れない
「グレイス」(ホンダ)

 ホンダの国内ラインナップにおいてもモデル廃止の嵐が吹き荒れている。グローバルコンパクトの「シビックセダン」、中国市場を主眼としたステーションワゴン「ジェイド」、そして5ナンバーセダンの「グレイス」の3モデルが一気に廃止になった。

もともとアジア市場向けモデルだったホンダ「グレイス」

もともとアジア市場向けモデルだったホンダ「グレイス」

 トヨタと異なるのは、もともと海外市場に最適化されたモデルを日本に持ってきていたという点。シビックセダンは北米ではSUVを除くとコンパクトクラスで圧倒的トップセールスモデルなのだが、日本では不発に終わった。

 3ナンバーサイズの立派なボディに173psの1.5リットルターボ搭載、ADAS(先進運転支援システム)付きで200万円台後半というプライスタグは魅力的に映るとホンダの営業部門は踏んだのだろうが、市場ごとの好みやブランドが抱える客層はこうも違うものかということを実感する結果となった。

 では、日本への適合性が高いとされる5ナンバーはどうか。それに相当するモデルがまさに2014年1月に投入されたアジアンマーケット向けモデルのグレイスだったのだが、これもまた販売目標をほとんどクリアできないまま終わった。

 販売店によれば、5ナンバーセダンは高齢者を中心に若干の需要はあったという。が、忌避されたのはずんぐりとしたデザインだ。

 アジア向けのクルマに求められるニーズは先進国向けとは大きく異なる。広い室内と巨大なトランクを、短い全長の中に押し込める必要があるのだという。開発陣は「『フィット』と部品を共有しつつ、ニーズにそって外形の線を引いたらどうしてもこういうふうにしかならなかった。残念だと思う」と語っていた。

 ちなみに筆者はグレイスのハイブリッドモデルで3300kmほどツーリングしたことがあるが、予想を裏切るハンドリングの良さと好燃費に驚いた。また、後席は頭上空間こそ小さいが乗り心地が良く、眺めも良かった。

 それでも格好が悪ければクルマは売れない。ホンダのビジネスモデルがアジア市場に過剰に引っ張られていなければ、いや、せめてフィットとの共用を求めすぎなければ、もう少しマシな格好になっただろうにと思うと、惜しいクルマだった。

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