「仕方がないことだとはわかっていても、やはり努力の結果を発揮出来ないというのが相当なストレスなようです。それでも年明けに、地域の陸上大会があり、そこで良い結果を出して、気持ちよく高校に進学しよう、そう話していたんです」(財津さん)
そして年が明け、再びの感染拡大の影響で、1都3県にまた「緊急事態宣言」が出された。これでは、財津さんや娘が一縷の望みを託していた大会の中止は決定的。毎日のニュースを見ては、ため息ばかりついている財津さん一家。また娘が夢を見失いかけてしまうのではないか、新年早々、気が気でない日々を送っているという。
プロスポーツや五輪代表などトップアスリートの動向にばかり注目が集まるが、裾野にあたるアマチュアスポーツの置かれた状況に言及される機会はそう多くない。トップアスリートが華やかに活躍するには、発展途上にある競技者たちが、より良い環境でそのスポーツに取り組めることが大前提だ。初心者、アマチュアがいなければ、トップアスリートは存在し得ない。このままでは、せっかく国内に根付いたあらゆる「スポーツ」の芽が、刈り取られかねない。
成長期の子供たちへの心理的ケアも含めた、多様なサポートが求められるこれらの問題に対して、もっと活発に議論されて然るべきではなかろうか。