国内

飲食店の時短営業で窮地に追い込まれる非正規雇用の人々

2度目の緊急事態宣言と飲食店への時短営業要請が出された東京の夜は早くから暗い(AA/時事通信フォト)

2度目の緊急事態宣言と飲食店への時短営業要請が出された東京の夜は早くから暗い(AA/時事通信フォト)

 子供から大人まで、すべての人が対象だった「特別定額給付金」について、新型コロナウイルスの再拡大による緊急事態宣言発令にあわせて、二度目の支給をという声が高まっている。2020年の緊急事態宣言時と異なり、今回は完全休業している店舗などは少ないから、そこまでの必要はないだろう、不満があるなら転職できたはずなどという声も上がるが、経済状況とは個人レベルでもそんな単純に解決できるものではない。ライターの森鷹久氏が、飲食店の時短営業によって窮地に追い込まれている人たちについてレポートする。

 * * *
 一都三県に加え、大阪や愛知などにも拡大した「緊急事態宣言」。

 飲食店の営業を「午後8時まで」とするよう自治体からの「要請」もあり、多くの店がそれに従っている。売り上げが減るという飲食店には、補償金が支払われる、補償金が増額されるといった議論も具体的になされているが、全く置き去りにされている存在となっている、そこで働く非正規雇用の人たちがいる。

「学校は再開しましたが、バイトは急遽休みに。少しずつシフトに入れるようになり、多少はお金が稼げると思っていた矢先。正直、勉強にも身が入らないです」

 都内の国立大学3年・吉田京香さん(仮名・20才)は四国出身。大学進学のために上京すると、都下のアパートで一人暮らしを始めた。郊外のため家賃は4万円ほどで、実家の両親が負担してくれている。その代わり、家賃以外の食費、通信費、交際費などは、自身のアルバイトによって賄ってきたという。

「レストランと居酒屋のバイトを掛け持ちして、月に12万円程度の収入がありました。レストランは夕方から夜9時まで。そこから深夜の3時ごろまで居酒屋で働いていたんです」(吉田さん)

 学生の身分で月に12万円の金があれば、それなりに豊かな暮らしができた。年に一度は貧乏旅行だけど海外旅行にも行けたし、好きな物も自由に買え、憧れの「東京生活」を満喫できていたと話す。

 ところが昨年4月以降、バイトがゼロになった。原因はもちろん「コロナ」だ。

「3月にはシフトが半分に減らされ、一度目の緊急事態宣言が出された4月にはレストランも居酒屋も、バイトは一人もシフトに入れてもらえなくなりました。夏にはレストランが潰れ、私も学校にも行けず地元にも帰れず。アパートで一人、リモート授業を受けるだけの生活になりました」(吉田さん)

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン